氷川きよし「ヒットチャートに入っても犠牲多い」活動休止発表後初の公の場、ファンの前で心境吐露

[ 2022年1月28日 05:30 ]

昨年の紅白歌合戦で熱唱する氷川きよし
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 今年いっぱいでの無期限活動休止を発表した歌手の氷川きよし(44)が27日、全国ツアーの初日公演を都内のJ:COMホール八王子で開催した。発表後初めての公の場で、自らファンに向けて休止を生報告。「ヒットチャートに入っても、それだけ犠牲にするものも多い」とし「ここらで自分の時間をつくらせていただけるとありがたい」と心境を吐露した。

 今月21日の突然の発表から6日。駆けつけたファンを前に「本当に歌が好きでやってきましたけど、今年いっぱいで無期休養ということになります」と切り出した氷川。「走り続けてきて、もう(今年で)45歳。休むことなくずっとやってきたので、ここらで1回休みます」と話すと、温かい拍手に包まれた。

 この日の1曲目は、昨年のNHK紅白歌合戦で歌った美空ひばりさんの「歌は我が命」。ツアーの副題は自ら考えた「歩き続ける歌の道」だ。その大切なものから距離を置くという重大な決断。その理由にさまざまな臆測が飛び交う中、自身の正直な思いが口をついた。

 「一歩外に出ると、全国どこにいたって“氷川きよし”と指をさされる。ありがたいことなんですけど、たくさん嫌な思いもした。そこから離れて、いったん今の自分を見つめ直したい」

 2000年に22歳でデビュー。すぐに「演歌の貴公子」ともてはやされ、スターダムにのし上がった。この日は「高校3年生で演歌に出合って練習を積んだ。そこからポンポンとレールが敷かれてきちゃったから…」と、プライベートの自分に向き合う間もなかった人生を振り返った。

 「華やかな裏には苦難があった」「(私生活を侵害する取材などで)人間扱いされてない」とも。その深刻さを物語るように「(休止して)“もう歌はいいや”ってなるかもしれないですよ。“もういいや”って…」と繰り返す場面もあった。“我が命”とまで考えている歌のない人生が頭をよぎるほどに、直面する苦悩が大きいことをうかがわせた。それでも「人に喜んでほしい、誰かを元気づけたい」という一心で、大きな犠牲を払いながら歌手として進化を続けてきた。音楽関係者は「休養はするが創作意欲はますます旺盛」と“復帰ありき”の休養とみている。

 それを裏付けるように「歌は氷川きよしというものの生活をつくってくれたので、死ぬまで(歌う)」とキッパリ。「喜んでくださる皆さんがいらっしゃる限りは、どこにでも行きます」と話すと、客席からは歓喜の拍手が湧き起こった。ジャンル、性別の壁に挑み、何度も「限界突破」してきた氷川。しばしの休息を経て、凄みを増しての帰還を、ファンは信じて待つ。

 ≪困惑、尊重…反応さまざま≫氷川の報告にファンの反応はさまざま。デビュー当時からのファンという横浜市の女性(89)は「来年からどうしたらいいのか分からない。楽しみがなくなる」と困り顔。立川市の主婦、相良織絵さん(57)は「今日の歌を聴いただけで、どれだけ長年頑張ってきたのかはすぐ分かる。寂しいけど、kiiちゃん(氷川の愛称)が休みたいというなら尊重してあげたい」と思いやった。

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