少年期の手塚作品初公開へ 弟妹と共作の秘蔵漫画 「ママー探偵物語」出版

[ 2022年1月4日 05:30 ]

手塚治虫の少年期の作品を収録した新刊「ママー探偵物語」
Photo By 共同

 日本を代表する漫画家の手塚治虫(1928~89年)が13、14歳ごろに弟妹と共作した秘蔵の長編「ママー探偵物語」が、2月に出版されることが3日分かった。数ページのみ展示する機会などはあったが、作品の全容公開は初めて。手塚が才能を開花させる直前、試行錯誤を重ねて豊かな創造力を伸ばした成長過程を知る貴重な資料として、注目を集めそうだ。

 41年前後に創作された表題作は、一つ目の雪だるまのような形をしたキャラクター「ママー」が、宝探しなどの冒険を繰り広げるコメディー。ママーのキャラ創作80年を機に出版が計画された。ママーは高い知能を持ち、集団で社会生活を営む不思議な生物で、後の手塚作品にも登場。戦時下の紙不足の中、鉛筆で帳面などに絵や字がびっしりと描き込まれている。

 弟の浩さん(91)は「ママーは大変懐かしい家族的な存在。喉薬の缶に描かれたイラストをまねた私のヘタな絵を、丸っこいユーモラスなキャラに仕上げたのは治虫兄貴です」とコメント。余白には「ミナコ(妹)ノフクレガオ」などと描かれた落書きや似顔絵もあり、そのまま掲載される。

 ママーが登場する漫画は小中学生時代に5巻程度創作されたが、多くが散逸。今回は手塚プロダクションが保管していた2、4巻を中心に500ページ超を掲載した。

 同社資料室の田中創さんは「子どもらしく自由奔放で遊び心ある漫画だが、読者も意識して描かれている。ここで試した効果的なコマ割りやキャラ作りが、後の手塚作品にも生かされている」と話している。

 「ママー探偵物語」(2万4200円)は、出版社888ブックスの公式サイトで予約販売する。書店では3月以降に発売予定。表題作の他に11~15歳で描いた作品も初収録する。

 ▼手塚治虫作品に詳しい竹内オサム同志社大教授の話 これほどの長編を13歳前後で描けたことに驚いた。当時刺激を受けた映画や小説の要素が作品に反映され、ズームイン・アウトのような映像的な描写など、多彩な技法を実験的に楽しんでいる。天才漫画家の創作の秘密に迫ることができそうな資料で、心躍る出版だ。数多くのキャラクターの創作術、科学と非科学(魔法)の対立の構図など、後の手塚作品で見られる基本的なスタイルが、少年期に育まれていたことが分かる。

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