長与千種 36年ぶり大阪城ホールで屈辱の髪切りマッチ回想「ここにいる人たち、みんな泣いてた」

[ 2021年12月8日 19:33 ]

長与千種
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 元女子プロレスラーで現在はプロレス団体「マーベラス」代表を務める長与千種(57)が、7日放送のBS-TBS「X年後の関係者たち」(火曜後11・00)に出演し、現役時代を振り返った。

 中学卒業後に長崎から上京し、全日本女子プロレス入り。80年に15歳でデビューすると、ライオネス飛鳥(58)との正規軍ユニット「クラッシュギャルズ」で大人気を博し、女子プロレス人気を牽引する存在となった。

 ダンプ松本(61)率いるヒール軍団「極悪同盟」との抗争では、標的になり、ダンプに倒されることが多かった。「ライオネス飛鳥は身体能力がずば抜けて高かったんですね。本当に強いんです。自分なんかは絶対、勝てる気がしない。じゃあ何が長けているかと思った時に、ダンプさんが自分を標的にして来るじゃないですか?どうせ勝てないんだったら、とりあえず滅びの美学でも勉強しようかなと本気で思いましたね」と、当時の苦悩を明かした。

 長与の熱狂的な人気を支えた多くは女子中高生だったが、ダンプによると「ファンの子は学校でいじめられてた子が多かったみたいなの」という。「学校でいじめられたりして、嫌な思いをしてるけど、長与千種さんを見れば、あんなにダンプにやられてても、逃げないで向かっていく。それを見て『私も逃げない。私も長与さんみたいになる。千種みたいになるんだ』みたいな子が多かったと聞きます」と話した。

 長与にとって、忘れられない試合があるという。85年8月28日、大阪城ホールに1万人を集めての一戦は、因縁のダンプとの髪切りデスマッチ。長与は流血もものともせずに奮闘したが、ダンプの前に屈し、リング上でダンプから髪を切られるという屈辱を味わった。

 先日、「スターダム」の興行で解説を務めた際、36年ぶりに同ホールを訪れたという。「85年から初めてその場所を訪れて、全部を見渡した時にまず、何を思ったかといったら、泣き声しか聞こえてこなかった。ここにいる人たち、みんな泣いてた」。丸刈りになった長与の姿に、悔し泣きするファンが続出したことを思い出していた。

 長与は自分の髪を切ったダンプの思いも分かったという。「ダンプ松本は忘れてると思うけど、たぶんつらかったと思う。自分が髪の毛を切る時に『黙ってろ。黙ってろ』と言いながらガッとやった時に、今だから言えるんですけど、この人も同じ気持ちなんだと分かった」。記憶に残る一戦を、長与は「自分の一番の天王山だったような気がします」と評し、「と同時に、ダンプ松本の天王山だった気がしますね」とも話した。

 一方のダンプにも、この一戦での忘れがたい出来事を語った。「警備員が30人くらい来てて、止めてくれるんですよ。警備員がいるからいいやって、普通にハアって普通に力抜いて帰るじゃないですか?警備員がグーでボーンって。自分、ヒューンって飛んじゃって」。警備してくれるはずの警備員から、いきなりグーパンチが飛んできたという。「力抜いてる時にやられるから痛くて。『何するんだ!』って言ったら、『おめえが悪いんだろ!』って。警備員も千種のファンだったんですね」と振り返っていた。

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2021年12月8日のニュース