藤井4冠はヒーロー 年長の妹弟子・中澤沙耶女流初段が祝福 子供たちが“必殺技”まねる

[ 2021年11月15日 05:30 ]

2019年、杉本昌隆八段の昇段パーティーで撮影された、藤井聡太4冠と中澤沙耶女流初段のツーショット
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 藤井4冠の誕生から一夜明け、長年にわたり姉のように見守り続けてきた杉本昌隆八段(53)門下の妹弟子・中澤沙耶女流初段(25)が祝福した。「前に師匠とよく“タイトル戦で活躍する姿を見たいね”って話してたのですが、まさかここまで凄い記録が続くとは!本当にアニメのキャラクターを超えてしまいましたね。4冠達成、おめでとうございます」と声を弾ませた。

 2人の出会いは、小中学生の参加がメインの将棋合宿。中澤は小学5年生で、その中に1人だけ小さい男の子がいた。当時幼稚園で年中の藤井だった。約100問の詰め将棋をさっそうと解き、誰よりも早く答え合わせを始めた姿に驚いた。「年中さんなので先生から漢字間違いとかで注意されてたけど全部正解。凄い子がいるなと思いました」

 破格の強さの一つに「先入観のなさ」を挙げた。藤井が小学校低学年の時に研修会(日本将棋連盟の正式機関で、将棋の魅力をより研究するための場)で対局したこともあり、「序盤でこう指すと悪くなる、っていう変化にも普通に攻め込んでくる。私は“それ、本当にいいの?”って指すけど、だいたい逆転負けでした」と振り返る。

 棋士になった今でも、そのスタイルは変わらない。「桂の高跳び歩の餌食」「金は守りに使え」「端角には端歩」など。古くからある将棋の格言を破った勝負手を放ち、王者の道を歩んできた。その姿は、今の子供たちに強い影響を与えているという。「教えてる子供たちが最近、藤井先生の手をまねするんです。“それ、あまりよくないよ”って伝えても、“でも藤井先生が指してた”って返されて、何も言えなくなっちゃう」と笑った。

 アニメや漫画の迫力ある必殺技は、まねしたくなるのが子供心。「ウルトラマン、アンパンマン、仮面ライダー…。藤井先生は子供たちにとって、そういう存在なのかもしれませんね」。令和を生きる新たなヒーローが、これからも夢を届け続ける。

 ◇中澤 沙耶(なかざわ・さや)1996年(平8)5月14日生まれ、愛知県出身の25歳。小学4年生で将棋を始め、2015年4月1日付で女流2級としてプロ入り。それを機に杉本門下に入門し、先に弟子入りしていた藤井とは年長の妹弟子にあたる。15年6月に1級、16年4月に初段昇段。18年YAMADA女流チャレンジ杯優勝。

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