立川志の輔 「人間って、せこいもんなんだ」師匠・立川談志さんの驚きのエピソード「縁があるんだから」

[ 2021年11月9日 16:26 ]

立川志の輔
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 落語家の立川志の輔(67)が9日放送のテレビ朝日「徹子の部屋」(月~金曜後1・00)にゲスト出演。11年に他界した師匠である立川談志さん(享年75)について語った。

 司会の黒柳徹子(88)から「亡くなって10年。コロナ禍でイベントができないって言うお話ですけど」と振られると、志の輔は「そうですね。本当は没後10年と言うので、弟子一同もそうですし、ご遺族の方々もそうですし、いろいろなことを考えてらっしゃったんですが、コロナの真ん中の状態になってしまって、とうとう予定としては成立しなかったんですけど」と残念そうに話した。

 談志さんについて「落語と自分の生活を一致したいと思って、自分と落語の同化を人生の目標にした師匠だったもんですから」と語ると、驚きのエピソードを披露した。「『人間って、せこいもんなんだ』って言いながら、前の晩にもらってきたおすしを次の日、弟子が大丈夫かな?と思うと、ネタを全部外して。フライパンにのせまして、これを焼く。握ってあるおすし(米の部分)は全部どんぶりに入れまして、ほうじ茶を熱くかけまして。そこに焼いたお魚をかけまして、お茶漬け状態にして、最後の最後まで食べるんです。弟子にも『お前たちも食え』と言いながら」とし、「大切に。自分のところにきたものは、縁があるんだから、ちゃんと食べきってやんなきゃいけない」と明かした。

 さらに「『あのシラスどうした。昨日の残してといたシラスあったろ』って。シラスを12、3匹ラップにくるんでしまう師匠なんですよ。『冷蔵庫にあるはずなんですけど』『ねえから言ってんだお前に』って言いながら、薄いラップに包まれてるから、下に落ちちゃってるんです。シラス10何匹で、どれだけ怒られたか」と笑わせた。

 黒柳からは「落語の場合は、怒られているのか、褒められているのか分からなかったときがあるんですって」と聞かれると、「そうですね」と志の輔。師匠の教え通りに演じ、客の反応も良く楽屋に戻ると、談志さんからは「お前、今の落語で何が言いたかったんだ」との言葉が。

 「それ以来『なんか言いたいことがないと落語やっちゃダメなのかな』と思いながら。それでも古典落語をただただ習ったとおりにやって、自分がやりたかったからこれじゃなくて、『何かが言いたいがためにこの落語を選んだ』っていう落語をやってけよってことをたぶん言ったんでしょうけど」とし、「それがもの凄い印象と言いますか、そのあとの落語の在り方を見事に変えてくれた一言で」と振り返った。

 黒柳から「でもまあ、あの型破りな師匠のおかげで、今の自分があると思ってらっしゃる」と問われると、志の輔は「ハイ。本当にその通りですね」としみじみ。談志さんは書籍とDVD「落語とは、俺である。」を残しているが、「これ普通の方が聞いたら、『そんなことよく言えるね』『何と傲慢な』とお思いかもしれませんけど、そうじゃなくてうちの師匠の独特の言い方で言うと、『落語とは、俺である。』と全員落語家がそう思ってやんなきゃダメだろって。少なくともうちの弟子は全員そう思え、っていう言葉だと思ったら、最期に残した最高の名言ですね」と感動していた。

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2021年11月9日のニュース