藤井3冠 JT杯で永瀬王座に勝利し地元名古屋で初の決勝進出 「ラスボス」は、またも豊島竜王

[ 2021年11月3日 18:01 ]

永瀬拓矢王座(右)に勝利し、JT杯決勝進出を決めた藤井聡太3冠
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 藤井聡太3冠(19=王位、叡王、棋聖)が3日、地元・名古屋市で第42回日本シリーズJT杯準決勝に臨み、永瀬拓矢王座(29)に99手で勝利した。決勝は21日、豊島将之竜王(31)と対戦する。

 振り駒の結果、藤井の先手で戦型は角換わりへ。永瀬の桂跳ねから開戦し、飛車で横歩も取って積極的に動く。その飛車をターゲットに藤井が銀を打ち付けるとその銀の効きに角を打ち返し、華々しく技をかけ合った。

 自然な指し手で駒得を拡大していった藤井が、飛車2枚に角、銀計4枚の攻めを結実させ、永瀬を投了へ追い込んだ。「先に仕掛けられて受け止めるのが難しい形になった」。苦戦も実感したが、早指し戦でも狂いのない読みが土壇場で光った。

 決勝で顔が合う豊島とは、今年度最低16局の対戦が決まった。藤井が挑戦中の竜王戦7番勝負は藤井の3勝0敗。今夏から王位戦、叡王戦と3連続タイトル戦を戦い、5日の第71期ALSOK杯王将戦挑戦者決定リーグでも対戦する。17年の初対戦から6連敗した藤井だが、今年1月に初勝利を挙げて以降、11勝3敗と圧倒する。「自分にとっては初めての(JT杯)決勝。今まで通り集中して指したい。熱戦になるよう全力を尽くします」と意気込みを語った。

 藤井には思い出深い会場だ。ポートメッセ名古屋ではJT杯と同時開催される「テーブルマークこども大会」に小学時代、出場した。4年で奨励会へ入会する藤井は、3年で低学年部門で優勝したが2年は準優勝。その決勝は自身の角がタダ取りされてしまう、子供にはありがちなうっかりミス。直後の表彰式、袴姿で泣き続けた姿は映像として今に残る。

 2日の前日会見。「子どもの頃は負けたときに泣いてしまったりした。(負けても)今はコントロールできるようになったが、悔しいという気持ちはあるし大事なことかなと思う」。当時の回想を交えながら振り返り、黒星を糧にした棋士人生を物語った。同会場で指すのはその小学3年以来10年ぶり。史上最年少4冠を目前に、凱旋を白星で飾った。

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2021年11月3日のニュース