「ホリプロ」創業者・堀威夫氏 文化功労者に スター発掘のポイントは「歯と目と声」

[ 2021年10月26日 12:06 ]

合同インタビューに応じるホリプロ創業者の堀威夫氏
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  政府は26日、2021年度の文化功労者を発表し、芸能事務所「ホリプロ」創業者の堀威夫氏(89)ら21人が選ばれた。堀氏はスポニチ本紙などの取材に応じ「長くやっていると、こういういいこともあるのかな。悪運が強いですね」と笑顔。一時代を築き上げた豪腕の持ち主が、スターを見つけ出す極意について語った。

 芸能の世界に身を置いて、70年。「僕はこれ以外、能が無いんですよ」と自身について分析するが、これまで和田アキ子(71)や山口百恵(62)など多くのタレントを発掘、育成してきた。明大卒業後にバンド「堀威夫とスウィング・ウエスト」を結成し、芸能活動引退後の1960年に前身の「堀プロダクション」を創業。芸能プロモーターとして、さまざまな文化芸術の発展に尽力したことが、今回の顕彰につながった。そんな堀氏が原石を探し当てる際に大切にしているのが、「歯と目と声」だ。

 「特に目は、これからなにかやってくれそうな子はキラキラしている。歯並びのキレイな子は健康だし、元々は音楽プロダクションなので、歌も歌わせました」

 そうして見つけ出したのが「第1回ホリプロタレントスカウトキャラバン」でグランプリを獲得した榊原郁恵(62)だった。榊原をさらに羽ばたかせるために、ミュージカル「ピーターパン」を公演し演劇の世界にも進出。エンターテインメント界をけん引してきた。

 2020年6月にファウンダー最高顧問を下り、全ての役職を離れた堀氏。しかし、新型コロナ禍によるエンタメへの逆風を憂いている。「エンタメは、より良く生きるための“生存必需品”。なくてもいい、なんて声はとても悔しいですね」。例えるなら、ハンドルの遊びの部分だという。「安全運転のために、遊びは必要。エンタメはそういうものじゃないでしょうか」と熱弁をふるった。

 今年89歳を迎えてもなお、張りのある声と凜(りん)とした佇まいを崩さない。「これから世の中がどう変わるのか分からないけど、変化に対応できないと生き残れない世界ですよ」。戦前から現在までを駆け抜けた日々の重みが、1つ1つの言葉ににじみ出ていた。

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2021年10月26日のニュース