直木賞作家の山本文緒さん死去 58歳、膵臓がん 村山由佳さん、新海誠監督らが追悼

[ 2021年10月18日 16:05 ]

山本文緒さん(C)新潮社
Photo By 共同

 「プラナリア」などの小説で知られる直木賞作家の山本文緒(やまもと・ふみお、本名大村暁美=おおむら・あけみ)さんが13日午前10時37分、膵臓がんのため長野県軽井沢町の自宅で死去した。58歳。横浜市出身。葬儀は近親者で行った。喪主は夫浩二(こうじ)氏。後日、東京都内でお別れの会を開く予定。

 1999年に吉川英治文学新人賞を受けた「恋愛中毒」はテレビドラマ化され、話題になった。2001年に「プラナリア」で直木賞を受賞。乳がんの手術をしてから何をするのも面倒になった女性の屈折した心理を描いた表題作など、現代女性の生きづらさをつづった。今年の春から体調を崩し自宅療養中だった。

 ツイッター上では追悼のコメントが続々と投稿された。作家の村山由佳さん(57)は「山本文緒さん。中公文芸賞の贈賞式でお目にかかれそうにないと知った時も、まさかそこまでとは思いもしていませんでした。先にいって待っていた三毛のさくらちゃんと、どうかゆっくりおやすみ下さい。生きてる者は、寂しいばかり」と偲んだ。

 中央公論文芸賞を受賞した山本さんの著書「自転しながら公転する」に推薦の言葉を寄せるなど親交があった、アニメーション監督の新海誠氏(48)は「悲しいです。この先も山本文緒の小説を何冊も何冊も読めると、勝手に楽しみにしておりました。自分の人生の短くない期間、山本さんの小説に支えられていました。今もずっと大好きで、ずっと憧れています。心より、お悔やみ申しあげます」とした。

 また、出版各社も追悼のメッセージを寄せた。文芸春秋文芸出版局は「今春より体調不良のためご自宅で療養されていた山本文緒さんが膵臓癌で13日に亡くなられました。享年58。心よりお悔やみ申し上げます。最後の作品となってしまいました9月刊の『ばにらさま』を著者にご覧いただけたことがせめてもの救いと思いたいです」と投稿。

 集英社文芸書も「山本文緒さんのご逝去に驚きと悲しみが止まりません。心からお悔やみ申し上げます。たくさんの素晴らしい物語を生み出してくださり、本当にありがとうございました。ご冥福をお祈りします」と追悼した。

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2021年10月18日のニュース