NHK・Eテレ「ワルイコあつまれ」 予定調和を崩した面白み

[ 2021年9月21日 08:30 ]

稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が出演するNHK・Eテレ「ワルイコあつまれ」(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】稲垣吾郎(47)、草なぎ剛(47)、香取慎吾(44)が出演するNHK・Eテレ「ワルイコあつまれ」第2回が23日午前9時から再放送される。

 子供も大人も楽しめる、新しい教育バラエティー番組で、同局は13日に第1回、20日に第2回を放送。事前に番組宣伝がないまま、第1回で稲垣、草なぎ、香取の3人が久しぶりにバラエティーで共演したこともあり、大きな反響を呼んだ。

 話題性もさることながら、特筆すべきは、内容の面白さだ。まずは、教育を推進するEテレらしからぬ番組名。草なぎは「ワルイコというのは、ちょっとちゃめっ気のある、いたずらっこな人の生き方や人生を表していて、そんな方々を、子どもたちや僕らを通して紹介していきます」と話す。

 例えば、第1回のコーナーの一つ「芸能界むかしばなし」。子供に読み聞かせる物語として取り上げたのは、おとぎ話の桃太郎や金太郎ではなく、「太郎」つながりで、俳優の勝新太郎さんの話。怖がる演技ができないと悩む後輩俳優を自分の高級車に乗せ、車を壊すことで後輩に怖い時の表情を覚えさせたという破天荒な勝さんの逸話などを伝えた。

 稲垣は「大人になると、自分のパターンを無難に選んでしまったり、思考が凝り固まってきますよね。子供に伝える番組でありながら、大人も楽しめる、何か気づかされる番組になっていると思います」と説明。香取も「絵を描く時、僕も絵の具を洋服でふいたりします。人生において、みんながやらないような“いたずら的なワルイコト”を求めているところがあるので、この番組に登場するオトナにも共感する部分は大きいです」と話す。

 特に鮮烈だったのは、第1回のコーナーの一つ「国宝だって人間だ!」。重要無形文化財保持者(人間国宝)認定予定の人形浄瑠璃文楽の人形遣い・桐竹勘十郎が美術館の展示物のように登場し、子供たちから「子供の頃の夢は?」「エゴサーチする?」などの質問を受けた。桐竹勘十郎が親しみのわく答えを返すたびに子供たちは声を合わせて「人間!」。人間国宝をバラエティーの要素にするという、NHK・Eテレにしか実現できないであろう斬新な展開を見せた。

 魅力の源の一つは、本来は扱いにくいはずのものを扱っている点。放送中の大河ドラマの登場人物や、亡くなった芸能人、人間国宝をバラエティーに組み込むことは、他の番組では難しいに違いない。もう一つは、オムニバス形式。第2回では、第1回とは全く別のコーナー「子ども記者会見」「好きの取調室」を登場させ、アイデアの多彩さを示した。予定調和を崩したところ、視聴者にとっては何が飛び出すか分からないところに、今のテレビで失われがちな面白みを感じる。

 なぜ、こんな番組が生まれたのか。関係者によれば、新しい教育バラエティーを模索するNHKの考えと、稲垣、草なぎ、香取の考えが一致したからだという。香取も「僕自身のアイデアも出しながら番組を作った」と、自分たちの考えが反映されていることを明かしている。この番組の良さは、NHKと3人の挑戦が好ましい化学反応を起こした結果と言えるだろう。

 こうなると、続きを見たいところ。NHKは第3回について「現段階では決まっていない」としているが、さて、次の一手は…?

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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