「テルマエ・ロマエ」ヤマザキマリ氏 漫画家への道筋決めた「フランダースの犬」ネロへの意外な感情

[ 2021年8月22日 13:07 ]

ヤマザキマリ氏
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 映画化された大人気漫画「テルマエ・ロマエ」などで知られる漫画家のヤマザキマリ氏(54)が22日、TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」(日曜前10・00)にゲスト出演し、漫画家への道筋につながる少女時代の母との交流を語った。

 小さいころから絵描きになりたかったというヤマザキ氏。「一番最初、子供の時に『絵描きさんになりたい』と言った時に、母がやった行動ってね、『フランダースの犬』の本を買ってきた」という。ネロ少年が、絵描きになる夢を追いながらも、最後は名画が飾られた教会で愛犬パトラッシュと凍死してしまう物語。「母が『ね?絵描きさんってかわいそうでしょう?』って言うんですよ」。母は絵描きをあきらめさせるための教材として、その本を選んだという。

 ところが、母からはもう1冊、シンドバッドの冒険を描いた「アラビアン・ナイト」の本も与えられた。「ずるい子供がいろんな手管を使って生き抜くって話なの。これを読んだ時、それ(フランダースの犬)を読んだ後だったから、『このネロって少年、要領悪すぎだわ』って。『こんな寒くて凍え死にそうだったら、移動してどこか暖かいところに行くとか(すればいい)。ずっと置かれた場所で待ってて、誰かが手を差し伸べてくれるのを待ってるなんてありえないよ。こんなこと』って、子供ながらにリアクションしたんです」。ヤマザキ氏の主張に、母の気持ちは一変した様子。「その時に母は『あきらめた』って。『いいんだ、この子は。適当にやらせる』と思ったらしい」と打ち明けた。

 絵を志す気持ちはその後も変わらなかったが、もう一つの転機は14歳のころに起きた。「この時、私は『画家になりたい』って進路指導の先生に言ったら、『お前、食っていけないだろう、そんなもん』って言われて、落ち込んでたんです」。そんな時、手を差し伸べてくれたのが母だったという。「母が『自分が行くはずだったヨーロッパ旅行に行けなくなったから、代わりに行ってきて。行った代わりに最後に、ルーブル美術館で見たい絵があるから、代わりに見て来い』と(言われた)」。14歳で約1カ月、フランスやドイツ、ベルギーの欧州各国を回る“おつかい”を命じられたという。

 ヤマザキ氏は当時の母の思いを、「本場の美術館に行って、古今東西の絵が飾られている中で、『みんな貧しかったりいろんな目に遭ってるだろうけど、それでも絵を描いてきた人たちのものを見れば、この子は自分の決意が固まるだろう』と、そういう策略があったんですよ」と推測した。

 旅先では、見知らぬイタリア人の男性に家出少女と間違えられて追いかけられる出来事もあったという。ところが、その男性に母がお礼の手紙を書いたことで意気投合。「私の意思と関係なく、2人の間で、私が高校をやめてイタリアに留学するという段取りができちゃった。私に言わないで」と、驚きの展開を明かした。

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2021年8月22日のニュース