「おかえりモネ」“三生”前田航基が存在感!愛されキャラ&繊細さ体現 チーフ演出絶賛「芸に尽くす志」

[ 2021年6月5日 14:30 ]

連続テレビ小説「おかえりモネ」で百音の同級生・後藤三生役を好演している前田航基(C)NHK
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 NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)でヒロイン・百音(清原果耶)の同級生・三生(みつお)役を演じる兄弟漫才コンビ「まえだまえだ」の兄で俳優の前田航基(22)。第3週(5月31日~6月4日)から登場したばかりだが、明るく人懐っこい“愛されキャラ”を体現し、人生初の金髪姿も相まって早くも存在感を発揮している。前作「おちょやん」で注目を集めた弟・前田旺志郎(20)に続く朝ドラ“兄弟リレー”も話題。チーフ演出の一木正恵監督に航基の魅力や撮影の舞台裏を聞いた。

 朝ドラ通算104作目。清原とタッグを組んだNHK「透明なゆりかご」やテレビ東京「きのう何食べた?」などで知られる安達奈緒子氏が手掛けるオリジナル作品。朝ドラ脚本初挑戦となった。タイトルにある「モネ」は主人公・永浦百音(ももね)の愛称。1995年に宮城県気仙沼市に生まれ、森の町・登米(とめ)で青春を送るヒロイン・百音が気象予報士の資格を取得し、上京。積み重ねた経験や身につけた技術を生かし、故郷の役に立ちたいと奮闘する姿を描く。

 前田の朝ドラ出演は2010年後期「てっぱん」以来、約11年ぶり2作目。当時は小学6年生。田中荘に下宿するプログラマー・中岡徹(松尾諭)の一人息子で、ヒロイン・村上あかり(瀧本美織)が開くお好み焼き店「おのみっちゃん」の名付け親となる民男を演じた。

 今回演じるのは、百音の中学・高校の同級生・後藤三生。亀島で創建1120年を誇る星明寺の息子。高校卒業後は仏教を学ぶため仙台の大学に進学したが、僧侶の父・秀水(千葉哲也)に無断で逃げ出した。第12話(6月1日)のラスト、百音の実家に突然現れ、百音に「匿ってくれ」と頼み込んだ。

 第13話(6月2日)、「オレ、坊さんにはなんねぇ!」「オレには選択肢がない。自由がない」と吐露。百音らと同じ吹奏楽部で「オレ、やっぱ音楽好きだなぁ」とバンド活動中で、大学にはほとんど通っていない。金髪&ピアスに「PUNK」と書かれたTシャツ姿に様変わりした。自分に僧侶が務まるのか、悩みと向き合うことになる。

 一木監督は15年3月に放送された特集ドラマ「LIVE!LOVE!SING!生きて愛して歌うこと」でプロデューサーとして前田とタッグを組んだ。

 同作は、東日本大震災を題材とした13年の特集ドラマ「ラジオ」の一色伸幸氏がオリジナル脚本、阪神・淡路大震災を題材とした10年の特集ドラマ「その街のこども」の井上剛監督が演出を担当。東日本大震災で被災し、神戸で避難生活を送る女子高生が小学校に埋めたタイムカプセルを開けるため、同級生たちと福島を目指す姿を描くロードムービー。前田は福島に留まり、主人公・水島朝海(石井杏奈)に「立入禁止区域になっている母校の校庭に埋めたタイムプカプセルをタイムプカプセルを掘りに行かないか?」とメールを送る同級生・渡部本気(まじ)役を演じた。

 実際に福島・浪江町の立入制限区域内でロケも行われた。当時、前田は15歳。子役から活躍してきたが、この時、初めて1人で宿泊を伴う地方ロケに参加。一木監督は「食事をはじめ、いろいろと航基君のお世話もして、私がお母さん代わりのような存在で。地震と原発による被害を受けた福島県で撮影する不安もあったことと思います。車の中で『福島県のもっと広い範囲が被災しているのかと思っていました。美しく、何ともないところが多い。テレビだけでは全然分からないですね』と語っていたことを思い出します」と振り返った。

 「撮影に入る前に、およそ1週間かけて登場人物の故郷である浪江町や南相馬市をじっくりと回り、現地の高校生たちと他愛もないこと、そして震災のことを語り合う時間を持ってもらいました。あの日から時が止まった無人の町を実際に歩き、多くの高校生たちと語った経験は『おかえりモネ』の三生の人生を生きる上でも、当然生きていると思います」

 その前田が「おかえりモネ」のオーディションに参加。「航基君とはその時の絆がありましたので、もともと親しみや愛情は持っていましたが、オーディションの時から佇まいが三生そのもの。三生はコメディーリリーフの役割も担っていますが、実は百音や漁師になるしかなかった亮(永瀬廉)と同じくらい、お寺の息子として非常にシリアスに自分の行く末を考えています。オーディションの時は細かい人物像やシチュエーションは伝えず、最小限の設定で演じてもらいましたが、道化役の部分とナイーブな内面を一瞬のうちに理解していて、三生としての生きざまがパーフェクト。圧倒的でした」と起用の決め手を明かした。

 前田本人も「最初お話を頂いた時は、寺の息子なので由緒正しいおとなしい子だと思ってましたが、実際に台本を読むと、とても明るくて、印象が変わりました。自分とちょっと似ているなと思うところもあって。僕も4歳ぐらいから芸能の仕事をしていて、楽しくお芝居している中でも、本当に自分のしたいことはこれなのかと考えたことがありました。最終的に『お芝居を仕事にしたい』と決意したんですが、三生も寺に生まれて、そのままお坊さんになるしかないのかという悩みがある役柄。僕にとっては共感できる部分が多かったです」と共通点を見いだしている。

 第15話(6月4日)、百音の実家に泊まった同級生たちは翌朝早く、足繁く通った浜辺へ。三生は無邪気に砂で亀を作った。亮は「(三生がお寺を継ぐのが嫌になったのは)生半可じゃないって分かったからじゃないの。寺、きつかったと思うし、あん時。オレら見てないけど、三生は見てただろうし」と思いやった。

 人生初の金髪姿。「まえだまえだ」や博多華丸(51)による“朝ドラ受け”「みつおみつお」がツイッターの国内トレンドに入るなど、インパクト満点の初登場がSNS上でも話題を呼んだ。

 一木監督は「航基君は小さい頃からこの世界で生きているので、『芸に尽くす』という志が半端じゃありません。前回ご一緒した時も実感しましたが、例えば今回の金髪にしても、オシャレなものじゃなく『ちょっと田舎っぽく、いかにも自分で染めましたという色味がいいんじゃないですか?』とスタッフとキャッチボールしてくれたり。ちょうどコロナ太りの影響もあったようですが(笑)、三生の体形も『このくらいがいいですよね?』と。そういう作品に対する尽くし方を見ると、本当に信頼が置ける役者さんだと思います」と絶賛した。

 三生は百音、亮、明日美(恒松祐里)、悠人(高田彪我)の同級生チームのムードメーカー。撮影現場でも、実際に前田が若手チームを引っ張り「みんなの中心にいる磁石のような存在」の三生そのまま。三生は来週第4週(6月7~11日)も百音の実家に。三生の“決断”と前田の演技が一層、注目される。

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