加藤シゲアキ「高校生直木賞」を受賞 同世代の登場人物の心情描写響いた「これ以上幸せなことない」

[ 2021年5月31日 05:30 ]

加藤シゲアキの単行本「オルタネート」
Photo By 提供写真

 人気グループ、NEWSの加藤シゲアキ(33)が30日、昨年発表した小説「オルタネート」(新潮社)で高校生が選ぶ「高校生直木賞」を受賞した。加藤の文学賞受賞は3月の「吉川英治文学新人賞」に続く2冠目となった。

 「高校生直木賞」は、昨年上半期と下半期の直木賞候補作から、全国の高校生が議論して受賞作を選ぶ文学賞。8回目の今年は32校が参加し、30日に各校の代表者によるオンライン選考会が行われた。伊吹有喜氏の「雲を紡ぐ」も受賞し、初めて2作品を選出。昨年上半期の直木賞に輝いた馳星周氏(56)の「少年と犬」などを押しのけての快挙となった。

 「オルタネート」は、マッチングアプリを巡る高校生たちの青春群像劇。昨年下半期にノミネートされた「直木賞」では受賞を逃したが、インターネットと現実世界の間で揺れる高校生たちの心情描写は、選考にあたった同世代の高校生たちの心に響いたようだ。

 加藤は受賞を知った瞬間を「賛美歌の“荒野の果てに”が頭の中に響いた」と振り返り、感謝の気持ちを表した。

 2011年の作家デビューから10年の節目で手掛けた「オルタネート」に込めたのは「若い世代に読書の楽しみを知ってもらいたい」との思い。願い通りの受賞に「実際に高校生の方々に届いたのであれば、これ以上に幸せなことはありません。世界には素晴らしい本がたくさんあります。読者の方々には、この本をきっかけに、人生最高の一冊と出合う旅に出発してほしいと思います」と喜びを語った。

 選考経過の詳報は文芸春秋の小説誌「オール読物」7月号に掲載される。

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2021年5月31日のニュース