世界初の落語カー誕生 橘家文太が高座完全再現 屋外でも笑い届ける

[ 2021年5月18日 09:16 ]

落語カーで落語をする橘家文太
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 世界初の“落語カー”の誕生だ。福岡県北九州市在住の落語家、橘家文太(34)が1トントラックを改造し、出先で寄席ができる特別車の運用を開始した。福岡県遠賀郡の移動販売車製作会社「ヒートウェーブ」が全面協力した。橘家文太に製作に込めた思い、目標などを聞いた。

 落語の高座を完全再現した。荷台の床を畳張りにし、後方にはふすまを設置した。「その方が面白いと思った」と文太。音響、照明、エアコンも完備している。

 製作のきっかけはシンプルだ。「九州に寄席がないですから。日頃から活動できる場所をつくりたかった」と話す。福岡県遠賀郡に本社がある移動販売車製作会社「ヒートウェーブ」が全面協力した。注目は音響だ。風があっても声が外まで届くように、選挙用スピーカーを採用した。

 5日に北九州市の高見神社でお披露目の落語会を実施した。境内に続く階段に観客が座った。文太は「やりやすかった。普段の落語会と変わらなかった」と手応えを得た。新型コロナウイルスにも強い。落語カーは屋外のため「3密」を防いで楽しむことができる。

 北九州市の出身。「不良少年だった」と苦笑する。23歳で上京。落語には縁がなかったが、新宿末広亭でたまたま落語に触れた。後に師匠となる橘家文蔵の落語を見たことも大きかった。「こういう世界があるんだと。落語って凄いな」と弟子入り。5年半の修業を経て昨年2月に前座から二ツ目という身分に昇進した。その初日、師匠の文蔵から「北九州で活動してみないか」と提案された。「北九州で仕事をしたいのはありました。地元は好きですから。恩返しというか。したいな、と思っていました」。新型コロナウイルスの影響もあり昨年8月から地元に戻り、落語家の「北九州住みます芸人」として活動している。

 福岡では落語ファンが増えてきたという。07年から三遊亭円楽がプロデュースする「博多・天神落語まつり」の影響も大きいそうだ。「福岡市で落語をすると、落語を知っているな、というお客さんが増えた」と感じている。

 一方で「北九州は、まだまだ」とも話した。「まずは北九州でいろんなところでやって。福岡全域。九州ツアーとかをしたい」と意気込んだ。

 ○…文太は落語カーの製作費を賄うクラウドファンディングを募っている。YouTubeの「橘家文太ちゃんねる」では毎日動画をアップしている。「YouTubeの効果でクラウドファンディングも増えました」と話した。

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2021年5月18日のニュース