将棋の東和男八段 敗戦で引退決定、40年余の現役生活に幕 かつて竜王戦1組に在籍、専務理事も歴任

[ 2021年5月17日 19:35 ]

現役引退が決まった東和男八段(提供・日本将棋連盟)
Photo By 提供写真

 将棋の東和男八段(65)が17日、大阪・関西将棋会館で古賀悠聖四段(20)と第34期竜王戦6組昇級者決定戦の対局に臨み、53手で敗れた。東は1976年の四段昇段以来、40年あまりの棋士生活からの引退が決まった。

 戦型は雁木。古賀の飛車、角、銀による攻めで守り駒をはがされ、金捨てから飛車銀両取りの角打ち。東は望みなしと見て投了した。「作戦ミスで序盤から(駒の)組み合わせが悪かった。色々考えすぎて、一番まずい作戦を選んでしまった」と振り返った。

 東は2008年、フリークラス宣言をした。フリークラス宣言をした棋士は規定により65歳を迎える年度の全棋戦が終了次第、引退となる。東に今年度、残っていた棋戦が竜王戦のみになっていた。

 谷川浩司九段(59)と同じ1976年、四段昇段してプロデビュー。竜王戦では1組に第2期(1989年)の1期、名人戦B級2組順位戦には17期在籍した。1組時代の思い出として「当時は対局料を振り込みじゃなく、紙幣でもらった。喜びが違いました」と笑った。
 関西を拠点に日本将棋連盟の運営にも携わり、2017年には専務理事を務めた。20代では奨励会幹事も務め、現在会長の佐藤康光九段(51)が当時、関西奨励会にいた。

 「あんな超まじめな生徒が“東先生には怒られました”と。僕はかなり厳しかった」と苦笑い。近年のAIの進化による戦術の変化については「かなりつらい作業」と真情を吐露。「今まで勉強してきたことと違うことを指摘されて、習ってきたことを捨てないといけない。年下に勝つことはこの10年、とんでもなく大変」。大ベテランが直面する技術革新との戦いを解説した。

続きを表示

2021年5月17日のニュース