是枝監督の“愛弟子”女優・小川紗良が初メガホン 6・25公開、長編映画「海辺の金魚」

[ 2021年5月4日 05:30 ]

映画「海辺の金魚」監督の小川紗良
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 女優の小川紗良(24)が「海辺の金魚」(6月25日公開)で長編映画の監督としてデビューすることになった。早稲田大学時代に是枝裕和監督(58)の講義を受講し、これまで3本の短編を発表。初の長編は脚本・編集も兼ねたオリジナルの意欲作で「信頼できる方々に集まっていただき、胸を張れる作品になった」と公開を心待ちにしている。

 高校時代から文化祭など学校行事のドキュメンタリー撮影を行い、映像制作に興味を持っていた。大学に入学した年度から是枝監督の講義が始まり、本来であれば3年生からしか受講できないところ「人気のある授業でしたが、1年から潜り込んで受けていました」と4年間みっちり映画製作を学んだ。

 「海辺…」は、さまざまな事情で親と暮らせず養護施設で生活する子供たちが、周囲の偏見などを乗り越え新たな一歩を踏み出す姿を主人公の18歳の少女・花の視点でつむいでいく。

 是枝監督には「脚本をチェックしてもらい、子役の演出についてもアドバイスをいただきました」と薫陶を受けた。撮影監督も、小川が好きな是枝作品に挙げる「誰も知らない」の山崎裕氏が担当。同作と同様に、厳しい現実を映しつつ未来への希望を感じさせる静ひつな人間ドラマを完成させた。

 開催中の韓国の第22回チョンジュ国際映画祭のコンペティション部門に選出され、このほど初披露された。16年の初主演映画「イノセント15」で、初めて海外の映画祭を体験した思い出の地。今回はコロナ禍のため訪韓はかなわなかったが、上映後にリモートによるティーチインで多くの質問を受け「映画だけでも海を渡って見てもらえて、作って良かった。国や文化を超えてちゃんと届いたことが実感できてうれしかった」と笑顔で話した。

 是枝監督と同様、脚本をベースに自ら執筆した小説も6月10日に刊行される。「小説を書いてから映画を撮るということもやってみたいですね」とさらなる意欲を見せた。

 《母親の故郷・阿久根市でオールロケ》「海辺…」の撮影は、鹿児島県阿久根市でオールロケが行われた。小川の母親の故郷で、幼少期から何度も訪れている地。「自然体の姿を写したかった」と、出演した子供たちも現地でオーディションをして選んだ。地元の全面バックアップもあり「私自身のルーツもある阿久根市の自然と人々。未熟者の私にはぜいたくすぎるほどの人に恵まれました」と感謝した。

 ◆小川 紗良(おがわ・さら)1996年(平8)6月8日生まれ、東京都出身の24歳。雑誌「HR」の専属モデルになり芸能界入り。14年、日本テレビ「地獄先生ぬ~べ~」で女優デビュー。16年、「イノセント15」で映画初主演。19年、NHK朝のテレビ小説「まんぷく」などに出演。

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