女性の生きざま筆に込めた橋田寿賀子さん 家族ドラマ書き続けた原点に壮絶な戦争体験

[ 2021年4月6日 05:30 ]

橋田寿賀子さん死去

脚本家の橋田寿賀子さん
Photo By スポニチ

 日本のドラマ史に一時代を築いた橋田さん。ホームドラマを書き続けた原点は戦争体験だった。「ご飯を食べられることがどんなにありがたいことか。狭い家でも家族で平和に暮らすことがどんなに素晴らしいか」と本紙の取材に語っていた。

 ドラマ史上最高の視聴率を記録したNHK連続テレビ小説「おしん」。手掛けたきっかけは「スキー道具を買ってもらえない少年が自ら命を絶ったという話を聞いた」ことだった。「そんなことで大切な命を捨てるなんて。幸せをもう一度考えてもらいたいという思いを込めた」。戦時中は防空壕(ごう)で生活。食べ物はもちろん飲み水も不自由した。がんを患った母は終戦後にやっと医師に診てもらえたが、手遅れだった。そんな壮絶な経験が原動力となった。

 長寿ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」で市井の生活、NHK大河ドラマ「おんな太閤記」「春日局」では語られることの少なかった女性たちを描いた。強い思いと類いまれな筆力が生み出したドラマ。もう見られないことが残念でならない。

続きを表示

この記事のフォト

2021年4月6日のニュース