福島県いわき市出身・富田望生 “10年後の宮城”描いたドラマ出演、震災の価値観届ける

[ 2021年1月30日 05:30 ]

女優富田望生(撮影・島崎忠彦)
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 福島県いわき市出身の女優富田望生(20)が、東日本大震災から10年後の宮城県を描くNHK・BSプレミアムの特別ドラマ「ペペロンチーノ」(3月6日後10・30)に出演する。自身も小学5年生の時に被災。「震災への向き合い方は人それぞれ。別の価値観を持った人たちが合わさった時に生まれるものを届けられたら」と思いを語った。

 震災が発生した時は小学校にいた。大きな揺れで教室の窓が割れ、ドアが激しく開閉する中、机の下で必死に身を守った。「アトラクションに乗ってるかのような揺れ。でも安全装置も何もない。そんな体験でした」と振り返った。

 母親が県内のホテルに勤務していたが、営業ができなくなり親族とともに東京へ移住。地元の友人と離れ離れになり前向きになれない日々が続く中、偶然目に入ったのが役者を募集する広告。自分を変えるきっかけになればと応募し、女優としてのキャリアをスタートさせた。

 「私にとって震災はあくまできっかけにすぎなくて、それ以上でも、それ以下でもない。いい出会いもあり、そこから生まれた感情は豊かな物だった。今回こうして震災の作品に役者として携われるのがうれしい」

 作品は宮城県牡鹿半島のイタリアンレストランのオーナーシェフ(草なぎ剛)を主人公に、震災から10年を迎える被災地の復興と被災者の心の再生を描いた群像劇。富田は地元漁師の妻を演じる。

 20歳にして同局の連続テレビ小説「なつぞら」に続く2度目の妊婦役。「子供っぽくはできないので母性を意識しました」と笑顔。現在は1匹の犬を飼っているといい「可愛いんですよ~。私の母性はワンコで磨かれています」とはにかんだ。

 〇…富田は現在、女優業にとどまらず情報番組などでも活躍している。NHK「あさイチ」では「思い出レシピ」のコーナーを担当。視聴者から寄せられた被災時の“食”にまつわる思い出を語り継ぐ企画で、富田は「みなさんの震災への向き合い方を知ることができて、大きな学びになっています」と語った。日本テレビ「ヒルナンデス!」でも昨年4月から木曜レギュラーとして活躍中。「最初は女優業の癖で台本を読み込んでいたのですが、最近はカンペを読むことに慣れてきました。ロケも楽しめてきています」と笑みを浮かべた。

 ◆富田 望生(とみた・みう)2000年(平12)2月25日生まれ、福島県出身の20歳。15年に映画「ソロモンの偽証」で女優デビュー。17年「チア☆ダン」、18年「SUNNY 強い気持ち・強い愛」などに出演。19年に日本テレビ「3年A組―今から皆さんは、人質です―」に出演し知名度を上げ、同年の「なつぞら」で広瀬すず演じる主人公のクラスメート役で出演した。趣味はピアノ、ダンスなど。身長1メートル52。

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2021年1月30日のニュース