浜圭介 LGBT歌う、男性が男性へ「憧れ」続けた恋心「愛はどんな形でもいい」湯川れい子さんとタッグ

[ 2021年1月26日 05:30 ]

作曲家生活55周年を記念したシングル「憧れて」への思いを語った浜圭介
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 「そして、神戸」「雨の慕情」などのヒット曲で知られる作曲家で歌手の浜圭介(74)が、LGBTなどの性的少数者に寄り添う曲を歌う。作曲家生活55周年記念シングル「憧れて」で、27日発売。音楽評論家の湯川れい子さん(85)が作詞した、男性が男性に思いを寄せる歌謡曲だ。

 ♪憧れて 憧れて
 憧れ続けた 先輩が
 長い髪した 綺麗な女性(ひと)と
 指からめてた 黄昏(たそがれ)の街
 見ないふりして 隠したけれど
 落ちる涙は 隠せない

 先輩の男性への恋心とともに、性的指向を理解してくれない父親への張り裂けそうな思いを表現した曲。作曲も浜が手掛けたもので「詞の世界に合わせて素直に書いた」という切なく優しいメロディーに乗せて歌っている。

 元々は湯川さんが若い男性歌手に歌ってもらおうと書いた詞。それが形にならず、旧知の仲の浜が「俺が歌うよ」と手を挙げた。浜は「まずは僕が歌って曲を知ってもらって、若い歌手にバトンタッチしたい」と曲を広めた上で、後進に譲りたいと考えている。

 湯川さんが周囲にいるトランスジェンダーで苦しむ人を見てきて、「こういう人に寄り添う曲を」と思って書いた詞。湯川さんは「LGBTも一つの愛の形だし、新しい家族の形。清潔感を持って曲を聴いてもらいたい」と思いを明かした。

 近年では男性同士の恋を描くドラマ「おっさんずラブ」がヒットし、LGBTを告白する人も増えた。社会が少しずつ変化している今だからこそ、誕生した曲だ。

 浜は元歌手の奥村チヨさん(73)と夫婦生活を送っている。「生き物は愛がなきゃ生きていけない。その愛はどんな形であってもいいと思うんですよ。そういう意味で、物凄く新鮮に表現できる歌です」とアピールした。

 《憧れのなかにし礼さんの詞も候補に》多くの作詞家と仕事をしてきたが、浜が最も憧れた存在は昨年12月23日に他界した、なかにし礼さん(享年82)だった。「出会った時にはベストテンに6、7曲を送り込むヒットメーカー。憧れの人に会えてうれしかった。礼さんはハルビン育ち、私は満州生まれで身近に感じていた」としみじみ。2人はその後、75年に北原ミレイ(72)の「石狩挽歌」を大ヒットさせた。

 実は、なかにしさんが書いた詞も55周年記念曲の候補だった。8年前に「浜ちゃんのために書いたんだ」と渡された「人の世一夜の子守歌」。なかなか良いメロディーが書けず、完成したのは昨年8月。「その時に電話したら、礼さんは“絶対に良い曲になるよ”と凄く喜んでくれた。近いうちに聴かせたいと思ってた」という。

 だが、実現しないまま別れを迎えた。「本当にショックだったね。でも、礼さんと約束したから、この曲も早く世に出したい」と話している。

 ◆浜 圭介(はま・けいすけ)本名金野孝(こんの・たかし)。1946年(昭21)4月8日生まれ、旧満州(現中国東北部)出身の74歳。青森、北海道で幼少期を過ごし、15歳で上京。64年に歌手デビュー。68年に「浜真二」の名で歌った「おんな道」がヒット。その頃から作曲活動を開始。71年に「終着駅」(奥村チヨ)がヒット。80年に阿久悠さんと組んだ「雨の慕情」(八代亜紀)で、第22回日本レコード大賞を受賞。

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