「半沢直樹」後半のクセ者――「国交相」江口のりこ「嫌な女を演じようと思ってやってるわけでは…」

[ 2020年8月27日 06:30 ]

「半沢直樹」令和の倍返しだ!<上>

国家権力で半沢の邪魔をする嫌な役が好評を呼んでいる江口のりこ(撮影・久冨木 修)
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 高視聴率をマークしているTBS日曜劇場「半沢直樹」は、30日の第7話からいよいよ終盤戦に突入。主人公・半沢直樹(堺雅人)の倍返しも激しくなっている中、本紙は全3回の連載で注目を集める後半のクセ者を紹介する。1回目は国家権力で半沢の邪魔をする国土交通相・白井亜希子を演じる江口のりこ(40)。

 今、過去に経験したことがないほどの注目を集めている。自身の半生がクローズアップされた記事も多く見られるが「それ嫌なんですよ~。“ほっといてくれ!”って思います」と笑う。兵庫県生まれの関西人。その語りは正直で、どこか自虐的で、ユニークだ。

 演じる国交相は、経営破綻目前の帝国航空の再建を巡り、半沢と激しい攻防戦を繰り広げている。国家権力で半沢を押さえつけ、余裕たっぷりにほほ笑む。したたかな女っぷりは、視聴者に「憎たらしい」と好評だ。

 「嫌な女を演じようと思ってやってるわけではないんです。無意識ですね」。役作りはほとんどしない。「現場に行ったら、台本を読んで思い描いていたことと違うことも提示されるじゃないですか。役を作りすぎると、その時にセリフが飛んじゃうんですよ。臨機応変に動ける方が楽しい」。監督の指示、現場の空気、相手の演技。生で受け止めたことを芝居に込めている。

 19歳で上京し、「劇団東京乾電池」に入団した。「舞台は同じセリフ、同じ作品を毎日やるでしょ。ある種の“しつこさ”みたいなものがあって、私はそれが凄く好き」。好きだから続けてきた。

 座長の柄本明(71)とは今作でドラマ初共演。柄本は与党の幹事長役で、国交相の後見人だ。劇団での2人の立ち位置と関係性が似ている。

 「共演できるのはうれしい気持ちと、嫌だなという気持ちが同じぐらい。“その芝居でいいのか”ってずっと言われてるような気がするから。私にとっては、誰よりもどの演出家よりも怖い人ですからね」。第7話では幹事長に怒られる場面がある。「あれは芝居じゃないですね。本気で震えてますから。芝居しなくていいなと思いました」とおどけた。

 「自分が好きだから芝居をやってる。自分のためです」。19歳から変わらぬスタンスだ。「お客さんを感動させたいとか、口が裂けても言えない。だからテレビで私を偶然見て、“笑っちゃった”って言ってくれるような近所のおばちゃんの意見がうれしいんです」。半沢との戦いを、自分が一番楽しんでいる。

 ◆江口 のりこ(えぐち・のりこ)1980年(昭55)4月28日生まれ、兵庫県出身の40歳。99年に劇団東京乾電池の研究生となり、2000年に入団。02年に映画「桃源郷の人々」で銀幕デビュー。06年のドラマ「時効警察」で演じた無表情の警察官役で注目を集めた。特技はピアノ、中距離走。1メートル70、血液型O。

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