演劇再開先陣「大地」無事に大千秋楽!三谷幸喜氏も安堵 大泉洋「半分の客席からの熱い拍手」に教えられた

[ 2020年8月24日 19:15 ]

演劇再開の先陣を切り、無事に大千秋楽を迎えた舞台「大地」。大泉洋も万感の表情(C)西木義和
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 脚本家・演出家の三谷幸喜氏(58)が手掛け、コロナ禍の中、7月1日に演劇再開の先陣を切った新作舞台「大地」が23日、大阪・サンケイホールブリーゼで大千秋楽を迎えた。東京公演(7月1日~8月8日)大阪公演(8月12~23日)、全60ステージを無事に駆け抜けた。

 三谷氏は「1人の感染者を出すことなく、この日を迎えられました。正直、毎日冷や冷やでした。役者の皆さん、ご苦労さまでした。舞台スタッフ、劇場スタッフ、本当によく頑張ってくれました。何より数々の不都合を乗り越えて、観劇してくださったお客さまに感謝。やればできる、でもやるのは大変」と安堵(ど)。

 出演者の1人、大泉洋(47)も「こんなにも、千秋楽を迎えられたことに安堵した舞台はありません。明日には中止になるかもしれない、大阪への遠征はできないのではないかと、常に不安を感じながら、1公演1公演と積み重ねてきました。我々役者陣も決して自分が感染しないように細心の注意を払って生活してきましたし、同じく舞台スタッフ、劇場スタッフも考え得るすべての感染予防対策を取って公演を続けて参りました。そして検温や消毒、私語の自粛など、そのすべての対策に対応していただいたお客さまには感謝しかありません」と緊張の日々を振り返り、心境を明かした。

 新型コロナウイルス対策のため、客席の配席(チケットは50%以下の販売)と公演スケジュールの見直しを行い、初日は当初の6月20日から7月1日に延期。検温や手指消毒、換気をはじめ、化粧室を利用した後の抗菌・消毒マットによる靴裏消毒など劇場側はもちろん、演出面も対策を徹底し、観客を入れて上演した初の主要劇場&作品。三谷氏が1994年からホームグラウンドとしている東京・PARCO劇場で演劇再開の先陣を切った。

 大泉は「『大地』が無事に千秋楽を迎えられたことは、今後の演劇界の大きな自信と実績になるでしょう。演劇を含むエンタメは『不急』かもしれませんが、決して『不要』ではありません。それは半分しか入っていない客席からの、満席の時にも負けない熱い拍手が教えてくれました。今後、多くの舞台が僕らができたように、安全に開催されていくことを信じています」と手応え。“演劇の灯”が消えないことを願った。

 とある共産主義国家。反政府主義のレッテルを貼られた俳優たちだけが収容された施設があった。強制的に集められた彼らは、政府の監視の下、広大な荒地を耕し、農場を作り、家畜の世話をした。過酷な生活の中、何より彼らを苦しめたのは「演じる」行為を禁じられたことだった…。

 大泉、山本耕史(43)竜星涼(27)栗原英雄(55)藤井隆(48)濱田龍臣(19)小澤雄太(34)まりゑ(35)相島一之(58)浅野和之(66)辻萬長(76=「辻」は一点しんにょう)と豪華キャストが顔をそろえた群像劇。俳優なのに、演じられない。初稿は昨年執筆していたが、コロナ禍にある今を予見したような設定。不可思議な生き物“俳優”とは何なのか。俳優への愛を込めた「三谷流俳優論」が笑いとともに展開された。

 ステージ上のセットは俳優たちが収容され、生活を送るバラックの1シチュエーション。これが9分割。8つのベットが置かれ、大泉は下手(前列左)、山本は中央など、個々の“定位置”における演技も多くあり、演者間の距離が十分に保たれた。脚本・演出に3密を避ける工夫を凝らし、より豊かな演劇表現に挑む「Social Distancing Version」と銘打った。

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