江戸のお寺は魅力がいっぱい!

[ 2020年7月23日 08:30 ]

お寺を探訪する新番組をアピールする里見浩太朗
Photo By スポニチ

 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】当代きっての時代劇スター、里見浩太朗(83)が案内役を務める新番組が松竹系CSチャンネルで8月1日にスタートする。その名も「里見浩太朗の東京お寺探訪」(土曜後0・15)で全22回の放送。23区内の寺院を巡り、住職との会話などを通して寺に関する秘話を浮き彫りにしていく。

 仕事で東京と京都を行き来することが多い里見も、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で移動にも一苦労。そんな中、6月19日に都内で取材に応じ、アクリル板の向こうから番宣に努めた。

 1953年秋、高校の修学旅行で初めて京都の神社仏閣を巡った。知恩院、平安神宮、そして歌舞伎「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」で石川五右衛門が口にする「絶景かな、絶景かな」の名ゼリフで知られる南禅寺三門を訪れた。いわゆる定番コースの3カ所で、学習を兼ねての見学だった。

 「こんな太い柱や門を昔の人はどうやって作ったのだろう?そんな疑問を抱いたことを覚えているが、正直言えば、もう二度と来ることもないだろうな…とも思いました」

 里見はそう振り返って笑ったが、世の中、分からない。2年後の55年にニューフェースとして東映に入り、京都撮影所に配属された。「それから60数年、有名なお寺でロケーションを行ってきました。東映というと、ほとんど貸してくれましたね。汚してしまって怒られたこともありましたが、時代劇を何十年とやっていると、京都の有名なお寺のほとんど、一般の観光客が見られないところも含めて見ましたよ」

 それだけに、東京23区の寺院探訪という企画に、最初は「どれほどのお寺があるのよ?」と値踏みしていたそうだ。ところが、この考えが間違いであることにすぐに気づく。「あにはからんや、立派なお寺がたくさんある。それも1つの区にびっくりするくらい何十と!港区六本木の、あの狭い所に素晴らしいお寺が固まっていて、そこを通らなければ行けない幼稚園だったり、都会でなければ見られない風景がある。そこがまた大人の散歩道や子どもの遊び場にもなってるんですね」

 文京区の護国寺には毎年節分の豆まきに呼ばれてきた。徳川五代将軍・綱吉の生母である桂昌院らが墓所で眠っている。「98歳でお亡くなりになりましたが、知り合いの管長さんがいまして。亡くなる2カ月前にもお会いした。年を取るとよくありますが、同じことをぐるぐるお話しされたりするんですが、それがまた可愛らしくて」と述懐。

 寺の住職さんから聞く話が実にためになる。「僕も80年以上人生を送ってきましたが、役に立つことがあればまだまだ応用していきたい。“優しさは自分にも他人にも与えよ”とか、みんなに聞かせてあげたい話がいっぱい出てくる。それを手帳に書き留め、感じたことを色紙に書いていくんです」

 東京の寺院のスケールの大きさにも感じ入る。「江戸幕府が開かれて400年以上。家康を慕ってついてきた仏教徒やお坊さんたちが、もちろん古さではかなわないが、京都や奈良に負けないものを作ったんでしょう。そんなことを思います」

 1960年代。時代劇がすたれかけ、それほど忙しくなかった時期に浜名湖の奥にある禅寺に精神修養のため出向いたことがある。真冬の2月、丸々1カ月間を寺で過ごした。「毎朝4時起床。掃除をする前に1時間の座禅を組む。管長さんは“嘘をつくこと。欲をかくこと。これが人間にとって一番悪い。嘘がなければ戦争もなかった。今の小競り合いだってない。例え嘘はついても笑える嘘にしなさい”と説いていました」

 この修業の後、中村錦之助(後の萬屋錦之介)主演の映画「宮本武蔵 巌流島の決斗」(65年公開)に出演。佐々木小次郎を預かる細川家の殿様を演じた。「ロケを取材に来た新聞記者さんから“人相変わりましたね”と言われました。精神的にも少し大人になったかもしれないですね」と述懐した。

 里見と言えば、代表作の1つにドラマ「水戸黄門」がある。世直しをしながら諸国を行脚する黄門さま。今回は東京の寺院巡りだが、これを全国展開しても面白いのではと質問してみた。

 「俳優として64年間。忠臣蔵、白虎隊、樅ノ木は残った…多くの人物をやらせてもらった。それぞれ歴史上に生きた人物。小説家や脚本家が理想を込めて作り上げた人物像かもしれないが、そうした人たちの生き方をこれから長い人生を生きていく若者に向けて講演する旅をしてみたい」と目を輝かせた。

 「お寺には銀杏の木、杉の木、クスノキなど、必ず1本か2本は、そういう木がある。その木に歴史を感じます。いったい何代の将軍を見てきただろうかと。僕と接してくれた和尚さん、その上の和尚さん、そして今接している和尚さん…一緒ですね」

 練馬区の妙福寺を初回に、護国寺など11の寺を巡る。目黒祐樹(72)、三波豊和(64)、長谷川稀世(74)、林与一(78)らゲストも豪華。里見は「江戸のお寺にどんな秘密、隠れた話があるのかを見て頂きたい」と力説した。

続きを表示

2020年7月23日のニュース