突然終了「えみちゃんねる」秘話 長寿支えた上沼恵美子の話術 一時は視聴率苦戦に涙も“番組愛”証明

[ 2020年7月22日 17:30 ]

上沼恵美子の“逆ギレ”により「快傑えみちゃんねる」が電撃終了することが分かった
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 関西バラエティー界の女王・上沼恵美子(65)が司会を務める関西テレビ(カンテレ)「快傑えみちゃんねる」(金曜後7・00、関西ローカル)が今月24日の放送をもって1995年7月のスタート以来、25年間の歴史にピリオドを打つ。昨年3月には“前人未到”の放送1000回を達成した関西を代表する番組の突然の終了。長寿番組を支えた屋台骨は、毒舌も冴えた「上沼のトーク」だった。2007年4月から制作に携わる梅田一路プロデューサーが900回、1000回の節目に明かした“秘話”とは――。

 今年は放送25年になり、ゴールデンタイムに放送されている女性メイン司会による関西民放バラエティー番組として、最長記録を自ら塗り替えた。

 番組のスタイルはゲストを招いた「トーク60分一本勝負」と変わらず、2016年11月に放送900回に到達。梅田プロデューサーは当時、スポニチアネックスの取材に「『快傑えみちゃんねる』の屋台骨は、やはり上沼さんのトークです。ゲストのあらゆる角度のエピソードを上沼さんの懐の深さで受け止め、さらにおもしろい味付けをしていただき、大爆笑を誘う流れこそが番組のエッセンスです。その独特な味付けは『快傑えみちゃんねる』ならではです。結婚、出産、育児、家事、嫁姑問題…主婦が経験することすべてを体験してきた上沼さんのフィルターを通すからこそ生まれる切り口があります。その『上沼さんのフィルターを大事にする』という考えを私とスタッフ全員で共有しています」と自負。

 「例えば『夫婦』というキーワードから生まれるトークは、上沼さんの真骨頂です。打ち合わせでゲストの方々から引き出すエピソードでも、常に『夫婦』というキーワードを大切にしながら打ち合わせをしています。21年間続いて、ゲストの皆さんも何周もしていますが、常に新しいエピソードを求めるという姿勢は崩していません」。収録は2本撮りのため、ゲストのエピソードが書き込まれた台本は何と約100ページに及ぶが、収録の1日前に渡すと「上沼さんは入念にすべてを読み込み『このゲストのエピソードから、こんな話を展開しよう』と考えてこられます。ご自身の番組に対する上沼さんの責任感の強さは、収録現場にいい緊張感を生んでいます。ディレクターも、台本にすべて目を通した上沼恵美子さんと対峙するわけですから。900回続いても、収録中に上沼さんとスタッフとの間に流れる緊張感は1回目から変わってないと思います。900回続く要因は、そこにあると思います」と長寿の秘訣を分析した。

 昨年3月には放送1000回を迎えた。上沼は「頂上に今、旗を立てました。頂上の上はもうないわけです。他の高い山に登る体力はない。だったら、この頂上からの景色を楽しもうと思います。かといって落ち着くわけではなく、今まで以上に『えみちゃんねる』らしい重厚なものを出していきたいと思います」と決意を新たに。

 前人未到の偉業に、梅田プロデューサーも「感無量です。番組が始まって約24年、『えみちゃんねる』はテレビ離れが進んだ今でも関西の視聴者の皆さまにしっかりご覧いただいております。それに勝る喜びはありません。1000回を迎えた達成感はありますが、見てくださる視聴者がいる限りは止まることはできないと思っています。1日でも長く、番組を続けられたら幸せです」と率直に喜んでいた。

 上沼もスタッフも先を見据えていたにもかかわらず、突然の終了。今年6月に上沼の“集中口撃”により準レギュラーだったキングコング・梶原雄太(39)が降板したが、複数の関係者によると、問題の発端は梶原の降板騒動とみられる。梶原の態度が気に入らず、上沼が「えみちゃんねる」収録中に罵倒。その場面はお蔵入りとなり、梶原は上沼のラジオ番組のレギュラーも含めて降板を申し出た。そこで上沼は騒動後、同局側に「番組をもっと良くしたい。改めるところがあったら何でも言ってほしい」と提案。これが“導火線”となった。

 同局側が上沼と話し合いの場を持ち、現場スタッフらの意見を伝えたところ、「そこまで言われるなら辞めてやる」と逆ギレ。局側は9月末での卒業を打診したものの、上沼の出演拒否により24日放送で終了することが突如、決まったとみられる。

 梅田プロデューサーは放送1000回の時、こんな秘話を明かした。

 「(上沼は)ご自分の番組に対してとてつもない愛情を持っておられる方ですので、視聴率が落ち込んだ時、楽屋で一緒に泣いたことがありました。その時、我々が励まさないといけないのに『“えみちゃんねる”はカツオと昆布で出汁を取った老舗の味。視聴者はちょっと別の店の味を試したくて浮気しているだけ。必ず老舗の味が恋しくなって戻ってくるから、絶対に出汁(番組の屋台骨)は変えたらアカンよ』と逆に励ましていただきました。上沼さんがおっしゃった通り視聴率は戻り、今も高視聴率を頂いています。本気で向き合っていないと、視聴率のことで涙なんて出ないと思います。上沼さんがいかに自分の番組を大事にされているかを、その涙が証明していると思いました」

 最終回は放送1056回目。18年11月放送の「開局60周年!カンテレ8ppy大感謝祭」においては「関西人1万人が選ぶカンテレ人気番組」1位に輝いた「快傑えみちゃんねる」。上沼が涙を流すほど愛し、視聴者からも愛された番組は、解決の糸口が見つからないまま空中分解してしまった。

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2020年7月22日のニュース