400年の歴史で初“オンライン歌舞伎”生配信、幸四郎が幸四郎と“夢の共演”実現!

[ 2020年6月28日 05:30 ]

「図夢歌舞伎 忠臣蔵」に出演した松本幸四郎

 歌舞伎俳優の松本幸四郎(47)が27日、ウェブ会議システム「Zoom」を使用したオンライン歌舞伎「図夢(ズーム)歌舞伎 忠臣蔵」に出演した。歌舞伎400年の歴史で初めてとなる生配信での上演となった。

 幸四郎は主演・構成・演出を担当した。演目は歌舞伎三大名作の一つ「仮名手本忠臣蔵」の大序から3段目。CGによる定式幕が開くと市川猿弥(52)が声をあてた口上人形が登場。「3密を避けて濃密に、史上初めてオンラインで歌舞伎を上演する運びにあいなりました」とあいさつした。

 役者は、それぞれが都内の別の稽古場で演技をし、松竹スタッフらが映像を合成し、画面上で共演しているように仕上げて配信した。幸四郎と中村壱太郎(29)が手紙を渡し合うシーンでは、画面に映らない場所にいるスタッフがそれぞれに手紙を差し出し、スムーズな“手渡し”を表現した。お囃子(はやし)は事前に録音したものを使用した。

 幸四郎は今回3つの役を演じた。歌舞伎では一つの演目で複数の役を務めることはあるが、幸四郎はこの日、事前に収録していた自分自身の映像と合成で共演。オンラインならではの“夢の共演”が実現した。またカメラ目線での演技、ドアップで見えを切るなど、劇場の客席では味わえない演出も取り入れられた。歌舞伎では役者の屋号を叫ぶ「大向こう」が定番。今回、観客はチャット機能に「高麗屋!」と書き込んで声援を送った。拍手の代わりには「パチパチパチ」と記した。

 歌舞伎興行は新型コロナウイルスによる上演休止が続く。終演後のトークショーで幸四郎は「久々に芝居をして胸がいっぱいです」と感無量。「劇場が再開しても“図夢歌舞伎”が一つの選択肢になれば」と手応えをのぞかせた。この日の続きは7月4日、午後11時から配信される。

 ▽仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)歌舞伎三大名作の一つで、初演は1748年。浅野内匠頭が吉良上野介に斬りつけ切腹したことを端に、大石内蔵助ら赤穂浪士47人が吉良邸に討ち入り敵を討つ実際の事件を題材にした演目。全11段からなる壮大な物語。

 《トラブルも“ならでは”》この日は約1000人が視聴。歌舞伎400年の歴史で初の試みだけに、上演中は一部音声が聞こえづらかったり、スタッフが画面に映り込んだりするトラブルもあった。チャット欄には「音が聞こえない」「画面が止まる」などの書き込みもあった。スタッフは「視聴者の皆さまからの声を真摯(しんし)に受け止めて、次回配信以降は改善していきたい」と話した。

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