藤井七段、最年少タイトル挑戦へ難敵「中尉」永瀬2冠と対戦 4日棋聖戦決勝T決勝

[ 2020年6月4日 05:30 ]

藤井聡太七段
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 天才棋士の新記録達成なるか、と注目を集める将棋の第91期棋聖戦5番勝負(8日開幕)の挑戦者を決めるトーナメントの決勝が4日、東京都渋谷区の将棋会館で行われる。

 藤井聡太七段(17)が勝てば屋敷伸之九段(48)の持つタイトル戦出場最年少記録17歳10カ月24日を4日更新する新記録となるが、立ちはだかる永瀬拓矢2冠(27)は叡王、王座の2タイトル保持者。将棋界のトップ3に君臨する実力者だ。

 永瀬は最近、藤井と練習将棋を数多く指す仲とあって、因縁深い対戦に「いつかは(大きな舞台で)と胸に秘めていました。決勝で当たるのは幸運です」と穏やかに話した。

 永瀬は横浜市出身で17歳0カ月でプロ入り。若手対象の新人王戦、加古川青流戦で優勝するなど順調に頭角を現し、16年には棋聖戦でタイトル戦初出場を果たした。将棋に対するストイックな姿勢がファンの共感を呼び「軍曹」または「鬼軍曹」と称されるようになった。昨年は春の叡王戦、秋の王座戦をともに制して2冠を獲得。軍曹から2階級特進の「中尉」とニックネームも昇格している。

 プロ入り前の三段リーグ時は将棋に専念する目的で高校を退学。「努力」「根性」を信条とする永瀬はまさに愛称にふさわしい存在だが物腰や口調はひたすら柔らかく、対局の合間に大好物のバナナを大量に食べる姿に“ギャップ萌え”を感じるファンも多い。実家はラーメン店を経営しており「うまい」と評判で足しげく通うファンもいる。

 永瀬は藤井と今回が初対戦だが、17年にはabemaTVの非公式戦企画「藤井聡太 炎の7番勝負」で唯一の白星を挙げた。藤井はコロナ禍で将棋の研究に励んだとみられ、パワーアップし無双の強さを誇る。4日午前10時、2人の歴史的な戦いが始まる。

 《今日勝てば今月最多で8局》棋聖戦のタイトル戦出場に「マジック1」の藤井は王位戦では「マジック2」の状態だ。挑戦者決定リーグ白組で4勝0敗の首位。プレーオフ以上が確定している。さらに紅組1位(現時点では永瀬)との決定戦を制すれば7月開幕の王位戦7番勝負出場が確定。4日の永瀬戦に勝てば今月は最多で8局を戦わなければならない。約1カ月半のブランク明けからハードスケジュールを強いられるが、藤井本人は「コンディションを保って臨めるようにと思っています」とコメントしている。

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