OUC48はAKB48の新たな一歩

[ 2020年4月16日 17:00 ]

「365日の紙飛行機(おうちver.)」の動画(C)AKB48
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 【牧 元一の孤人焦点】AKB48が新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を受け、メンバーが自宅からファンらにエンターテインメントを発信する「OUC48プロジェクト」をスタートさせた。

 そのきっかけは、メンバー計103人がそれぞれの自宅で、ヒット曲「365日の紙飛行機」を歌った動画を、グループ総監督の向井地美音が編集したこと。この編集動画「365日の紙飛行機(おうちver.)」は15日にYouTubeで公開され、16日夕方までに再生回数が約15万回に及んだ。コメント欄には「こういう活動をしてくれるのがAKB」「見て泣いた」「ありがとう」など好意的な声が続々と寄せられている。

 オリジナル楽曲の冒頭のソロパートは、元NMB・山本彩が歌っていたが、「おうちver.」は既に卒業発表している峯岸みなみ、人気の柏木由紀がリレー歌唱。その後、画面は細分化され、岡田奈々や新センターの山内瑞葵らが次々と登場して歌い、楽曲を盛り上げている。

 オリジナルやステージでの歌唱に比べ、メンバーの生歌がより鮮明に耳に届く印象。メンバーによって、踊ったり、静かに歌ったり、紙飛行機を手にしたり、ぬいぐるみを用意したり、それぞれの個性を楽しめる。ファンにとっては貴重なエンターテインメント作品になったに違いない。

 今後は、メンバーがそれぞれの自宅で、劇場公演の曲をパフォーマンスし、それを生配信する「OUC48おうち公演」を随時、行っていくという。

 向井地は「人と人が力を合わせて乗り越えなければならないこの期間、ほんの少しでも、私たちが、おうちから届けるもので、元気や笑顔になってもらえたら、うれしい」とプロジェクトの趣旨を語っている。

 AKBは緊急事態宣言後、東京・秋葉原の専用劇場での公演を中止。握手会やイベントなども行っておらず、メンバーとスタッフは自宅待機を余儀なくされている。

 2011年の東日本大震災の後、AKBは恒例行事として被災地を訪問。現地で生のパフォーマンスを披露することで、被災者を励まし続けてきた。「会いに行けるアイドル」を掲げるように、そのような人との触れ合いがグループの真骨頂であるのだが、今回は外出自粛で、それを実施することが出来ない。

 人と離れた場所で、いかに自分たちの魅力を生かせるか。AKBにとって新たな試みであり、再隆盛への試金石にもなりそうだ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず)1963年、東京生まれ。編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在はNHKなど放送局を担当。

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2020年4月16日のニュース