名バイプレイヤー甲本雅裕 映画「高津川」で念願の初主演 主役と脇役「言い方が違うだけ」

[ 2020年3月15日 09:45 ]

どんな役も100%向き合うのが信条と笑顔を見せる甲本雅裕(撮影・尾崎 有希)
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 【俺の顔】俳優甲本雅裕(54)は「役と100%向き合うこと」を信条に活躍の場を広げてきた。出演オファーは常に新鮮に受け止め、どのように演じられるかという楽しみを先行させるプラス思考で臨む。バイプレーヤーとして映画、ドラマを中心に個性を発揮しているが、その前向きで自然体なスタイルは、初主演映画「高津川」でも貫かれている。

 そして「ただのがむしゃらだった」と劇団が95年に解散するまで全作品に出演。その後、現在所属する事務所に入るが、その過程も紆余(うよ)曲折があった。

 「タレント名鑑を買って好きな俳優に丸を付けて、一番多かったのがそこだった。社長さんに会えて、今は手いっぱいで無理だけれど、人と人が出会って最初にやることは遊ぶことじゃないのかなと言われたんです。それで、社長がつくっている草野球チームの試合のお知らせが来ると、バイトを休んで行っていたりしました。そうして半年近くたった時に“セリフは一言だけれど、仕事をやってみる?”ってなったんです」

 その頻度も増していく過程で「気が付いたら」所属に。そして97年、連ドラ初レギュラーとなるフジテレビ「踊る大捜査線」の、湾岸署の緒方薫巡査部長役が大きな転機となる。

 「勝手に青島刑事(織田裕二)に憧れている警官だと思い、警官は正しくなければいけない、そこを追求してまともすぎて滑稽になればいいなと思いながらやっていました。役者としていろいろなノウハウを得られたので、いまだに凄く大きな作品です。1年間通して“踊る関係”の仕事しかしていなかったこともありました」

 以降、さまざまな職業を体験したが「全ての役が同じ距離にある」という。「僕たちの世界において同じ役は2つはないので、毎回新鮮にその時のことだけを考えるのが役者の楽しみであり、醍醐味(だいごみ)だと思っています。脚本を読んで自分が何を感じたかだけで判断し、毎回それと100%で向き合うだけ。今相対しているものに向かっていられれば幸せですし、それしかない気がします」

 もちろん、主演には憧れがあったそうで「高津川」のオファーは「うれしくてたまらなかった」と振り返る。だが、撮影に入ればその意識は見事なまでに吹き飛んだ。

 「主役と脇役の何が違うんだ、言い方が違うだけだと感じました。主役だから何かを背負ったところでそれは形になるものではないし、作品の中で生きていることには何ら変わりはなかったですね」

 穏やかな表情の中に、確固たる信念がにじんでいた。

 《雄大な景色と作品に涙》「高津川」(監督錦織良成、4月3日公開)は清流日本一の評価を受けた高津川が流れる島根県西部が舞台。甲本らが母校の小学校の閉校や伝統芸能の継承、リゾート開発計画に向き合いながら、守るべき故郷を見いだしていく群像劇だ。雲海が現れるなど雄大な自然に包まれたロケ地で「きれいさに度肝を抜かれました。終わってその地を離れることに後ろ髪をひかれたのは初めて。素晴らしい場所でした」。完成した作品については「チェック的に見ていたはずなのに、気が付いたら何度も泣いている自分にビックリした。押し付けない映画になったと思っています」と自信をのぞかせた。

 ◆甲本 雅裕(こうもと・まさひろ)1965年(昭40)6月26日生まれ、岡山県出身の54歳。89年、東京サンシャインボーイズに入団。「ラヂオの時間」、「ショウ・マスト・ゴー・オン」など全作品に出演。95年1月の劇団解散後、活躍の場をテレビ、映画へと広げていく。主な出演映画に「花のあと」、「エヴェレスト 神々の山嶺」、「四月は君の嘘」、「3月のライオン」などがある。

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