ともに前掛かり 珍しい長考の応酬 渡辺王将2歩損でも不敵 広瀬八段仕掛けた3五歩

[ 2020年2月21日 05:30 ]

第69期大阪王将杯王将戦 7番勝負第4局第1日 ( 2020年2月20日    神奈川県箱根町・ホテル花月園 )

初手を指す広瀬八段。左は渡辺王将(撮影・吉田 剛)
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 渡辺明王将(35)2勝、広瀬章人八段(33)1勝で迎えた第4局は先手の広瀬が午後6時、49手目を封じて指し掛けとなった。勝てばタイトル防衛に王手をかける渡辺に対し、挑戦者・広瀬は積極果敢な姿勢を誇示。第1日としては珍しく長考の応酬場面も見られる展開となった。対局は21日午前9時に再開する。

 広瀬は駒と駒がぶつかりにくい初日の午前中から仕掛けを入れた。11時2分に指した29手目▲3五歩(第1図)。高らかに開戦宣言…ではないものの、明らかに好戦的な一手だ。49手目を書き込んだ封書を正立会の深浦康市九段に手渡して自室に戻った広瀬は「一手一手が悩ましいですね」とつぶやきながらも、表情に険しさはない。ある程度は想定内に収まっているというサインだろう。

 興味深いやりとりもあった。渡辺の40手目△6五桂に投入した時間が57分。対する広瀬の応手▲5五歩は49分の消費だ。51分かけて投入された渡辺の48手目△6二飛に対し、広瀬が49手目となる封じ手の意思を示すまでに刻んだ時間は56分。長考には長考を。波長は絶妙にシンクロしている。

 ともに「欧州サッカー観戦」という共通の趣味がある。5年前には親しい観戦記者を含め3人でイタリアに赴き、セリエAのACミラン対トリノを観戦。よりによってアウェーゴールが決まってしまい、殺伐とした雰囲気の中でスタジアムを命からがら?脱出したエピソードを持つ。将棋連盟内のフットサル部でも積極的に活動する両雄だ。タイトルを争う盤上で無形の共通項が存在してもおかしくない。

 早々に軽いジャブを投げかけた広瀬を見て、王者渡辺もしきりに突っ掛ける。ともにディフェンスラインを押し上げての前掛かり状態。「それほど激しくはならなかったなあ、という感じですかね」が初日を終えた渡辺の穏やかな所見だった。コマ割りでは実質2歩を損しているにもかかわらず。

 駒箱を盤上に乗せて一夜の休戦を迎えた対局室から、西に見える山の端にはわずかに明るさが残っている。真冬に開幕した王将戦7番勝負も中盤戦。春が近い。

 《封じ手は?》
 ▼立会人深浦康市九段 ▲3七桂の可能性もあるが▲6四歩ではないか。飛車を近づけて桂得を狙っていく。
 ▼副立会中田宏樹八段 ▲6四歩。相手の攻め駒を取りにいく。この一手で対局が激しくなる可能性も。
 ▼記録係木村友亮二段 ▲6四歩になるだろう。これ以外の手だと、先手が妥協している印象を受ける。

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