【女優主演賞】シム・ウンギョン 韓国、日本…国際派の道「米国やヨーロッパの映画にも出演したい」

[ 2020年1月22日 05:30 ]

2019年毎日映画コンクール ( 2020年1月21日 )

女優主演賞に輝いたシム・ウンギョン。観客の心を揺さぶる演技を見せた(撮影・会津 智海)
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 主演賞にシムは「実感ないです。本当に自分がこんな大きな賞をもらうのか…って。ただ感謝するだけです」と流ちょうな日本語で喜びを口にした。外国人の主演賞は93年「月はどっちに出ている」のルビー・モレノ以来の栄誉となった。

 東京新聞記者の望月衣塑子氏のノンフィクションを原案に藤井道人監督が映画化。大学新設計画の裏に潜む陰謀を暴こうとする記者と、官僚との対峙(たいじ)をスリリングに描いた。

 主人公の吉岡エリカを演じたシムは「専門用語がたくさんあってセリフが難しかった。日本語のイントネーションも完璧じゃないけど、自然に聞こえるように頑張りました」と振り返ったが、その必死さが真相にたどり着こうとする主人公の必死さと重なり、観客の心を揺さぶった。

 「吉岡なら、こんな時に何を考え、どう行動するのか…キャラクターと一緒に呼吸しながら演じました。キャラクターの真心(思い)をお客さんに見せたい。それが一番のポイントでした」

 撮影前には実際に新聞社を視察。「皆さん、ちょっと猫背になってパソコンに向かっていた」と笑ったが、そんな姿も役立てた。自殺した内閣府職員の家で松坂桃李(31)演じるエリート官僚と出くわす場面がお気に入り。「2人の芝居がバチバチとスパークして、いいシーンが出来上がった」と笑顔を見せた。

 「ブルーアワーにぶっ飛ばす」(監督箱田優子)でも助演賞候補となった。こちらはコミカルな役どころ。「お芝居って、人間の断片を見せる仕事。いろいろな顔を持っていると言われることが俳優として一番いいことじゃないでしょうか」

 ソウルで生まれ、子役として活躍。「怪しい彼女」など韓国では人気、実力ともトップを走る。米国の高校を卒業した国際派で、2年前から日本でも活動を開始。「いろいろ経験することが大切。チャンスがあれば、米国やヨーロッパの映画にも出演したい」と目を輝かせた。

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