吉本闇営業騒動で導入「エージェント制」ギャラアップも…全てが自己責任

[ 2019年12月24日 09:30 ]

激動2019 芸能編(7)

吉本のエージェント契約第1号となった加藤浩次
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 雨上がり決死隊の宮迫博之(49)らが特殊詐欺グループとの間に闇営業を行った騒動は、吉本興業の企業体質の問題にまで広がった。同社ではマネジメントやコンプライアンスの見直しを行い、新しい方針を打ち出した。なかでも注目が日本の芸能事務所で初となる専属エージェント契約だ。騒動当時、吉本にかみついた極楽とんぼの加藤浩次(50)が第1号として契約を結んでいる。

 エージェント契約とは、仕事獲得以外のスケジュール管理やプロモーションなどをタレント側が自ら行い、ギャラが多くなるのが利点。例えばこれまで「5対5」だった取り分が「7対3」「8対2」となる。米国では主流の形態で、タレントはエージェント、マネジャー、プロモーション、法律のスタッフらを雇って動く。海外はオーディションを受けて仕事をすることが多く、エージェントはタレントのランクに合った案件を提案する。

 日本ではどうなのか。「エージェントと言っても、極楽加藤さんのマネジメントは吉本のスタッフが担当する形での契約。これまでと大きな変化はない。もともとギャラの割合も悪くはなかったそうです。米国のようにオーディションが多いわけでもなく、芸人も仕事が先細りすることを考えると踏み出せないのでは」(テレビ局関係者)。

 純然たるエージェント契約になると、海外と同じく代理人弁護士らスタッフの雇用でばく大な経費がかかる。「1億円クラスの年収がないと赤字になる可能性が高い。長年レギュラー番組を持ちテレビ局とも個人的に太いパイプのある芸人にはメリットがある」(関係者)という。

 現在10本のレギュラー番組を持つたむらけんじ(46)や友近(46)が会社と交渉中。闇営業問題で活動休止中のロンドンブーツ1号2号の田村亮(47)も相方の田村淳(46)がエージェント契約用の会社を立ち上げており、活動再開後に話し合いの場を持つことになりそうだ。これまでギャラの取り分はブラックボックスになっており、芸人にとっては“明朗会計”となるのは仕事をする上でモチベーションとなる。

 「米国では、エージェントにとってタレントはクライアントでビジネスライクな関係。エージェント側から契約を解消することもできる。大きな仕事を持ってくるのも彼らの力です。吉本もそこを目指しているのでは」(ハリウッド関係者)。

 仕事の幅が広がるメリットもあるが、デメリットは予期せぬ不祥事に巻きこまれた場合。テレビ番組の降板やCM放送中止の損失は自己負担となる。芸人にとっても踏み切るには覚悟のいる契約と言えそうだ。

 ≪「直営業」ルール制定≫一連の闇営業問題で吉本興業では、闇営業こと「直営業」のルールも新しく制定した。依頼があった時点で会社側への報告を義務づけて反社チェック。吉本を通じてギャラが支払われる形だ。芸人らの間では「吉本の取り分が多くならないことを祈るばかり」との声が上がっている。ほかに芸人の間で話題になっているのは来年以降のタクシー代など交通費の全額カット問題。同社では「個人の交通費を見直してギャラに上乗せする形になる。そこはしっかりフォローします」と説明している。

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2019年12月24日のニュース