福山雅治が挑むクラシックギター 天才肌の奏者演じるため“ゼロ”から猛特訓

[ 2019年11月3日 09:30 ]

クラシックギターを練習する福山雅治
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 【夢中論】歌手としても俳優としても活躍を続ける福山雅治(50)。初めてギターを弾いたのは中学生の時。もう35年以上も前のことだ。だが、まだ挑戦していない新たな領域を見つけた。それが、演技のために始めたクラシックギターの奏法。初体験の難しさを痛感しながら、自身の音楽の幅を広げることにつなげた。

 頭では分かっていても、音が思い通りには出ない。クラシックギターの奏法は、慣れ親しんだエレキギターやアコースティックギターと別物だ。スチール弦をピックで弾くエレキに対し、クラシックギターはナイロン弦を指で弾く。左手も右手も使い方が違う。

 特に右手の人さし指、中指、薬指の指3本を使って弾く「トレモロ」に苦労した。同じ高さの音を連続して小刻みに演奏するアコギではやらない奏法で時間をかけて習得した。

 50歳の節目。誰もがうらやむような成功者に見えるが「僕の人生はスランプ」と語る。「HELLO」「桜坂」など数多くのヒット曲を長年にわたって送り出してきたが、その半生は生みの苦しみを常に感じてばかりだった。

 「詞も曲もポンポン出てくるわけじゃない。デビュー当時から今に至るまで変わらない。スランプって言ってしまえば、僕の人生はいつもスランプですよ。凄く苦しい」。爽やかな表情の裏には、いつも苦悩がついて回る。

 1日に公開された主演映画「マチネの終わりに」の劇中には「未来が過去を変える」というキーワードが出る。過去の事実は変えられないとしても、未来の在り方によって、過去に起きたことの見え方やとらえ方が変わるという意味だ。福山の人生もこの言葉が当てはまる。これまでも出来上がった作品に救われ、苦しい過去が尊いものになっていった。

 新たな奏法に挑んだのは、今作で天才肌のクラシックギタリストを演じるため。「同じ道着を着て黒帯を締めてるんだけど、柔道なのか空手なのか。それぐらい違う」。最初は全く弾けず、時間があればスタジオにこもって練習。「違うジャンルでギターを弾いてるからこそ、難しさをより痛感できたのかもしれない」

 撮影地パリへの出発前、荷物のパッキング時に爪が割れた。「パリに着いてまず行ったのはネイルサロン。爪の補強をしました。生命線ですから」。努力の跡を指先が物語っていた。

 劇中ではしっかりと演奏で魅せている。もちろん吹き替えはなし。ただ本人は「全然できてない」と首を振る。「あくまでも演技。弾けるとはおよそ言えない。そんなこと言ったら“福山、調子こいとるな!”ってクラシックギター界から叱られますよ」

 この挑戦が自身の音楽活動に収穫をもたらした。特に気に入ったのは「オーケストレーションができる」こと。クラシックギター1本で、オーケストラのようにメロディーも低音のビートも演奏できるのだ。今年のライブでも持ち歌の「恋人」を弾き語りで披露した。「弾き語りの幅が広がったのと同時に、演奏を休む暇がなくなった。今までは間奏はジャーンと弾いてれば一呼吸おけたので。でもね、楽しいですよ」。演奏することに没頭したギター少年の心は失われていない。「未来が過去を変える」の言葉通り、努力を怠ることはない。

 日常の分かりやすいシーンはベンチプレス。50歳になった今でも、100キロのバーベルを上げる。日々の鍛錬の積み重ねだ。

 「年を取るし、シワも増えて、老眼にもなる。でも40歳の時より50歳の時の方がベンチプレスが上がってれば、40歳より50歳の自分が勝ってるわけですよ。ベンチプレスはそれを実感させてくれる。自信になりますよ」

 来年はCDデビュー30周年。それでもまだ「なんか違うな」と頭をひねりながら曲を作っている。「昔より今の方が声が出てないとダメ。そうじゃなくなったら現役じゃないでしょうね」。自分への厳しさがあるから、福山は進化を続けていくのだ。

 ▽マチネの終わりに 世界を飛び回るクラシックギタリスト(福山)と、パリ在住のジャーナリスト(石田ゆり子)による大人のラブストーリー。出会いからひかれ合った2人は、その距離を超えて愛し合う。すれ違いで疎遠になるが、互いに思いを秘めたまま生きていく。原作は芥川賞作家・平野啓一郎氏の恋愛小説。

 ◆福山 雅治(ふくやま・まさはる)1969年(昭44)2月6日生まれ、長崎県出身の50歳。88年にオーディションを経て芸能界入り。90年に「追憶の雨の中」でCDデビュー。俳優としても93年のドラマ「ひとつ屋根の下」などで活躍。主演作は「ガリレオ」、NHK大河「龍馬伝」など。妻は女優の吹石一恵(37)。1メートル81、血液型O。

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