愛される「怪物」糸谷八段 昨年惜敗のリベンジを

[ 2019年9月23日 08:00 ]

第69期王将戦 挑戦者決定リーグ 最強バトルロイヤル!生き残るのは誰だ!?<2>

王将位奪取を狙う糸谷哲郎八段(撮影:吉松伸太郎)
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 王将戦挑戦者決定リーグ在籍は今回が5期目。すっかり常連になった糸谷だが、7番勝負への進出には届いていない。昨期は4勝2敗でプレーオフまで持ち込んだものの、渡辺明・現王将に屈して涙をのんだ。「去年があと一歩だったので、挑戦を目指して戦いたいですね」。眼鏡の奥の目がキラリと光った。
【糸谷哲郎八段】山崎さんは「クリエイター」、私は「アレンジャー」

 26歳で棋界最高位の竜王に就き、「怪物」のニックネームを持つ。棋風は気持ちいいほどの早指しに尽きる。重苦しい長考の連続がデフォルトという対局常識をひっくり返すようにテキパキと手が進むさまは芸術的でもある。

 「メリットは(自分の)テンポ、相手の時間を削ること、終盤に時間が残ること」と、よどみなく説明するさまは自らの指し手のようだ。とは言ってもさすがに確認する時間がある程度必要では?「もちろん確認していないわけではなく、確認してあの時間です」。それが普通でしょうとばかりにさらりと言い切った。

 豪放磊落(らいらく)な将棋と、大阪大大学院でドイツ哲学を学んだ異色の経歴の間にあるギャップも興味深い。哲郎の哲は哲学の哲。複雑な事象を分かりやすく言語化する能力にたけ、感想戦や解説での明瞭な分析に触れてひかれるファンも多い。

 愛されるキャラクターでもある「怪物」も、実は今回リーグ初登場の「新怪物」藤井聡太七段(17)には過去2戦2敗。「トップ棋士の中で藤井七段がどういう戦いぶりを見せてくれるのか。完全に人ごとの体で話してました」と笑いながらも「全員が(藤井に)そう簡単に負けられないと思って戦うはずです」と、何げない言葉の中に決意を込めた。眼鏡の奥のまなざしがまたキラッと光った。

 ◆糸谷 哲郎(いとだに・てつろう)1988年(昭63)10月5日生まれ、広島県出身の30歳。2006年(平18)四段昇段。タイトル戦登場は3回で、14年12月には竜王位を獲得した。今年6月からは棋士会副会長を務めている。

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