藤井七段 初和装対局 三浦九段に敗れるも「いい経験」

[ 2019年8月12日 05:30 ]

プロ入りしてから初めて公式戦に和服姿で挑んだ藤井聡太七段
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 将棋の最年少棋士・藤井聡太七段(17)が11日、福岡市で指された一般棋戦の日本シリーズJTプロ公式戦(JT杯)1回戦に登場し、プロ入り後初めて和服姿で公式戦に臨んだ。三浦弘行九段(45)に180手で敗れ初戦敗退となったものの、公開対局に集まったファンは貴重な藤井の和服姿に満足そうだった。

 トップの12人しか参戦できない“将棋界のオールスター戦”。そんな大舞台でも藤井は、すでに風格すら感じさせる凜(りん)としたたたずまいを見せた。会場入りした際、1700人超の観戦客はその姿にくぎ付けになった。和服は暑く感じるのか、対局中はいつもより水を口にする場面が多く、額からしたたり落ちる汗をタオルでしきりに拭った。

 藤井にとっては“初体験”尽くし。JT杯参戦、九州での公式戦、順位戦A級の三浦九段との対戦、そしてJT杯恒例となる観客向け「次の一手クイズ」用に“封じ手”も体験。和服での真剣勝負も合わせ「初めてのことばかりで、いい経験ができた」と笑った。

 対局では三浦九段が「もしかしたら、藤井さんがあまり知らない戦法かと」と準備していた攻めに序盤から苦戦。それでも、かつての自身のように併設のこども大会に出場し、憧れの視線を送る少年少女棋士らを意識。通常は負けを覚悟した時点で頭を下げるところを、詰みになる直前の局面まで指し続けた。

 「今日は本当に多くの方に来ていただきありがとうございました」と壇上からファンに感謝。今年度に獲得できる可能性を残すタイトル戦は大阪王将杯王将戦のみということもあり、対局スケジュールに余裕が生まれている。単なる1敗を上回る“ひと夏の5つの初経験”が、天才棋士のさらなる成長を促すはずだ。

 ▼JT杯 前回大会優勝者、タイトル保持者、獲得賞金ランク上位の12人によるトーナメント戦で、JT(日本たばこ産業)が協賛。こども大会と併設されたステージ上での公開対局で、約半年をかけて全国11会場で1局ずつ開催する。11月の東京大会で決勝を行う。持ち時間は10分と1分間の考慮時間5回で、使い切ると1手30秒の早指し戦。今回出場者は前回優勝の渡辺明3冠と広瀬章人竜王、豊島将之2冠、佐藤天彦九段、羽生善治九段、久保利明九段、深浦康市九段、三浦九段、斎藤慎太郎王座、菅井竜也七段、高見泰地七段、藤井七段(斎藤以下は敗退)。

 《棋士交流イベント 「大阪王将」が開催》将棋の第69期大阪王将杯王将戦(スポーツニッポン新聞社など主催)に特別協賛する餃子チェーン「大阪王将」主催の棋士交流イベントが11日、東京都台東区の御徒町駅前店で開催された。戸辺誠七段(33)と本田小百合女流三段(40)がトークショーと指導対局を行い、ファン20人が参加した。渡辺明王将(35)と親しく、よく旅行するという戸辺七段は「風呂の時間まで細かく計画を立てる。流れが決まってないのは嫌いなんです」と素顔を紹介。将棋が強くなる方法として本田女流三段は「自分の棋風に合うプロ棋士を見つけてほしい」とアドバイスしていた。

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