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【イマドキの気になる現場】藤井フィーバーが呼んだ新聖地への定跡 24年めどに将棋会館移転

[ 2019年7月29日 06:00 ]

現在の東京・将棋会館の外観。レンガ風のモダンな造りが印象的な建物
Photo By スポニチ

 数々の名勝負が生まれた東京・将棋会館(渋谷区)の移転が決まった。ここ数年は映画やアニメの舞台になったこともあり“聖地巡礼”するファンの姿も見られる。注目が集まる将棋会館の過去、現在を紹介。そして未来を予想してみた。

 JR千駄ケ谷駅から徒歩6分、閑静な住宅街の中に「東京・将棋会館」がある。地上5階、地下1階、床面積約2457平方メートルのレンガ風の建物。1976年(昭51)4月のオープン当時はさぞモダンだったことだろう。

 日本将棋連盟は6月、2024年をめどに将棋会館を移転する方針を決めた。理由のひとつは建物の老朽化。会館に入ってみると天井に黒いシミが付き、階段の照明がやや暗いなど気になる点はあるが、使用し続けていくにはさほど問題はないように感じる。関係者は「老朽化よりも深刻なのは手狭さの方。ファンが急増し、会館のキャパシティーが追い付かなくなってきている」と話す。

 最も手狭なのが2階にある将棋道場。初心者からベテランまで誰でも将棋を指せるスペースで、「やっぱり将棋会館で指してみたい」(小3男児)と遠方から駆け付ける子供が多い。22日の夏休み以降、小中学生を中心に連日200人超が詰めかけている。約140人分の座席では入りきらず、対局待ちの客が多数出ている。職員は「対局待ちの方には近くの将棋センターを案内するのですが、将棋会館で指したいという人も多くて…待ってもらうのは心苦しいですね」と語る。

 羽生善治九段や藤井聡太七段らプロ棋士が使用する対局室も、常に混雑している。ここ数年、新たな棋戦が加わり対局数が増えたためで、対局直後に会見を開こうとしても報道陣を収容できるスペースがないほどだ。

 愛着のあるファンの中には、同じ場所での建て替えを望む声も多いが、建ぺい率や日照権など法的規制があり「現在の約8割の延べ床面積しか確保できない」(連盟)ことから断念せざるを得なかった。

 現在の会館は1階に扇子などグッズを扱う売店、2階に将棋道場が入る。一般客が立ち入れるのはここまで。3階に事務室、4、5階に熱戦を展開する対局室などがある。以前は食堂や棋士用の宿泊施設まで備えていたが、今は対局を中継するスタジオや倉庫に様変わりしている。

 連盟に残る資料などによると、総工費は約5億円。連盟の自己資金は1200万円で無謀な挑戦にも思えたが、待望の会館建設。故大山康晴十五世名人らトップ棋士が法人への飛び込み“営業”や、一般ファンからの寄付で4億円超をかき集め、建設にこぎ着けた。連盟創設50周年を記念し76年にオープンした。

 新会館オープンを目指す5年後は、連盟創設100周年にあたる。関係者は「節目での移転となれば名目も立つし、音頭が取りやすかったのではないか」と指摘。さらに「藤井フィーバーが後押しとなったことは間違いない」。移転後には“藤井時代”の到来が予想されており「藤井七段とともに会館自体もクローズアップされるだろう。新会館にしたい理由はその要素が大きい」と話す。

 候補地は会館から直線距離で360メートル離れた、大手不動産「ヒューリック」が建て替えを計画しているビル。新ビルの規模やデザインなどは「未定」(広報・IR部)としているが、仮に現ビルと同規模となるなら、延べ床面積は約1万1351平方メートル。現会館と比べ4倍強の広さであることから、1棟丸ごと将棋会館になるとは考えづらい。飲食店やオフィスなどが同居するとみられる。

 近くには千駄ケ谷駅や東京体育館もある。懸念されるのが騒音問題だ。現会館があるのは住宅街の中。渡辺明王将は「神宮球場でプロ野球の試合があると、5回裏に花火の音が聞こえてくる。ヤクルトファンなので音の時間によって、どんな試合展開になっているのかを対局中に想像している」と言い、集中力をそがれるような雑音はなかったという。落ち着いた状態で対局できるよう強固な騒音対策、セキュリティー対策が求められそうだ。

 《移転予定先でも「将棋めし」継続》移転予定先での「将棋めし」はどうなるのか?そば店「ほそ島や」は「予定地も配達範囲内なので、引き続き配達します」。最も遠くなるのが、加藤一二三・九段が対局時に、必ずうな重を注文していた「ふじもと」だが「連盟から注文があれば配達します」と話しており、棋士たちは引き続きなじみの味を楽しめることになりそうだ。

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