ゆりやんの野望 米国の次は世界で笑タイム 目指すは「団子になったような人」

[ 2019年6月30日 10:00 ]

笑いのポーズを決めるゆりやんレトリィバァ
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 ダンス、漫談、憑依(ひょうい)芸…。多彩な芸が持ち味の女性芸人ゆりやんレトリィバァ(28)が、ついに世界に羽ばたいた。米国の人気オーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」に出演。見る者に強烈な印象を残した。米国への憧れや、世界に「笑い」を届ける情熱を明かした。

 「こんなに話題になるなんて…。やってみるもんですね」。おっとりとした語り口はいつも変わらない。奈良県仕込みの関西弁も、芸人らしくはなく、むしろ上品に聞こえる。

 ただパフォーマンスは過激だ。12日に公開された番組出演時の映像。星条旗がデザインされた露出ギリギリの水着に身を包み、頭には角刈りのカツラ。ロックバンド「EUROPE」の楽曲「ファイナル・カウントダウン」をBGMにキレキレのダンスを披露すると、現地の観客たちの視線はくぎ付けとなった。

 「“ひぃ~”って引かれなくてよかったと思います。皆さんのリアクションがデカくて、海外やなぁという感じでした。やっぱり日本とは雰囲気も違いますね」

 過去にも2度米国に滞在したことがあったが、どちらも日本のテレビ番組の企画だった。だが今回の挑戦は仕事ではなく完全プライベート。昨年の春ごろから準備を始め、オーディションにエントリーするために書類や動画を作成。2度の選考をくぐり抜けて、晴れて米国のステージにたどり着いた。

 小さい時から「いつかアメリカに進出したい」と思っていた。きっかけは大好きだった映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。主演の米俳優マイケル・J・フォックス(58)に会いたいがために、一時は海外の高校に進学することも考えたという。中学3年生の時には同映画をテーマに英語のスピーチコンテストに出場したり、姉の影響で洋楽にハマってブリトニー・スピアーズ(37)の楽曲を歌うなど英語にも慣れ親しんでいた。

 今回のコンテストでも、パフォーマンス前には審査員と流ちょうな英会話を見せた。芸名の由来を問われ、「私はペットを飼っています。レトリバーは知っていますか?ゴールデンレトリバーの」としっかり前フリ。「もちろん」と応じる審査員に「猫を飼っています。彼の名前がレトリィバァなんです」とアメリカンジョークをさく裂させ会場が笑いに包まれた。

 一見「ゆるキャラ」のようなほんわかした印象だが、現地の感性に合わせる鋭いセンスを発揮。大笑いをかっさらったことに手応えをのぞかせる一方、さらなる高みも目指している。

 「正直、レトリバーのくだりも(日本人にとっては)全く面白くないボケじゃないですか。でもいつか、自分が日本で本当に面白いと思えるものを英語でやって、しっかりニュアンスを伝えて笑いを取りたいんです」。ヤナギブソン、友近、小籔千豊、明石家さんま、ダウンタウン…。目標にする芸人を挙げたらきりがない。「全員を足して何かで割るとかではなくて、全員を足して団子になったような人になりたいんです!」と理想は高い。

 17年には女芸人No・1を決める「THE W」で優勝。18年には「R―1ぐらんぷり」で準優勝するなど既に輝かしいキャリアを残している。これまで毎年参加していた賞レースだが、今年はあえて出場を考えていないという。「勝ち負けとは違った一年にしようと思っているんです。一度賞レースから離れて舞台とか、ライブとかで自由なことをやってみたいと思っています」

 今回の米国挑戦もその一つ。「やっぱり、世界中の人を笑わせたいですね」と夢は膨らむ。「そのために今頑張っていることはですね…。全くないです!」。あくまで、マイペースがゆりやんのリズム。「“絶対成功するんだ”と思ったらうまくいかない気がしますね。イメージを大事に、チャンスを見つけてこれからも挑戦し続けます」とあくまで“自然体”で、これからも快進撃を見せつける。

 《「スラバのスノーショー」見に来て!!》スペシャルサポーターを務める体験型ファンタジーショー「スラバのスノーショー」が今年も日本に上陸する。世界中で700万人以上を動員してきた人気舞台。ゆりやんは過去2度の公演でショーの主役となる道化師として出演しており「言葉もなく身ぶり手ぶりだけで出演して、なんのこっちゃ分からなかったけど楽しかった」と振り返った。「見るだけで想像力がかき立てられるので、みんなに見てもらいたい」と呼びかけた。7月19日~8月7日に大阪・クールジャパンパークTTホールで、8月10~25日に東京・シアター1010でそれぞれ上演される。

 ◆ゆりやんレトリィバァ 1990年(平2)11月1日生まれ、奈良県出身の28歳。NSC大阪校35期生。13年に同スクールを首席で卒業。同年、MBS「ロケみつ ザ・ワールド」のレギュラーメンバーになる。15、16年に「R―1ぐらんぷり」で3位。17年に「NHK上方漫才コンテスト」で優勝。18年にはアマゾンプライム「ドキュメンタル シーズン6」で優勝した。趣味は映画観賞、ピアノ。血液型B。

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