“黒のカリスマ”蝶野、白のヒーローへ変身 盟友の死で命の尊さ痛感

[ 2019年6月15日 05:30 ]

デビュー35周年を迎え、ますます精力的な蝶野正洋
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 ヒール役でプロレス界を席巻し“黒のカリスマ”と呼ばれた蝶野正洋(55)が“白い天使”になって活動していくことを宣言した。

 1984年にデビューし、今年35周年。2017年にレスラーを引退しタレントとして活動する一方、救急救命や地域防災の啓蒙(けいもう)活動にも取り組んでいる。「今では、人を投げるなんて、あんな危ないことをやっちゃだめだと思うね。殴るなんてとんでもない」とかつてのヒールとは思えない言葉。「自分のことは自分で守る。その精神を広めたい」と力を込める。

 活動を始めるきっかけになったのはリングでともに闘った仲間の相次ぐ死だった。05年7月に「闘魂三銃士」として人気を博した盟友・橋本真也さんが急死。09年には三沢光晴さんがリング上で亡くなった。「とにかくショックでした。どんなに頑張っていても、こうなってしまうのかという切なさもありました」と振り返る。

 当時、プロレス界では不慮の事故を防止するために選手をサポートする仕組みづくりの流れもあったという。だが結局まとまることはなかった。「2010年くらいの時は、AEDを使える人が誰もいなかった。だからこそ自分が広めていかなければ」と使命感に突き動かされた。

 以来、周囲を巻き込みながら救命活動に取り組んだ。10年には東京消防庁から感謝状を受け、14年には救急救命と地域防災を広めるための一般社団法人「ニューワールドアワーズスポーツ救命協会」を設立した。

 今秋には自身の企画・発案で防災に関する著作を出版予定だ。

 「これからもプロレス的な頭を使っていろいろなことで社会に貢献できたら」

 悪役から正義のヒーローへと“ターン”し、令和時代を駆け抜けていく。

 ◆蝶野 正洋(ちょうの・まさひろ)1963年(昭38)9月17日生まれ、東京都出身の55歳。84年4月に新日本プロレス入門。同10月にデビュー。91年8月にG1クライマックスで優勝。02年6月、新日本プロレス取締役に就任。10年に退団しフリーに。17年にプロレスを休業した。消防応援団、AED大使などを務める。

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