矢沢永吉、独白!“令和現役”宣言「俺の魂はスティル・ロックシンガー」

[ 2019年5月1日 09:30 ]

インタビューに答える矢沢永吉(撮影・会津 智海)
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 ヤザワ、令和に対して言いたい!昭和と平成を駆け抜けた日本ロック界の“生きる伝説”矢沢永吉(69)が、改元最初の単独インタビューに応じた。9月で古希70歳を迎えるが「俺の魂はスティル・ロックシンガー」と“令和現役”を宣言。「便利はトリック」「敵は自分の中」「近道をしたら近道にやられる」――。令和も名言連発です。

 令和。僕ね、らりるれろが苦手で。言いにくいのよ。何でも最初はそうじゃない?気がついたらなじむ。平成だってそうだった。そんなもんですよ。全て時間が解決してくれる。ただ、人生は必ずしもそうとは限らない。

 例えば「昭和」。絶対に上に行かないと、俺の未来はないと思わせた、分かりやすい時代。一獲千金で一気に行けるのは音楽だと教えてくれたのはビートルズだった。だから広島から夜汽車に乗ったし、昭和はドラマチックだった。「平成」は食べられるようになってたから、これでいいんだろうか、自分はどうなるんだろうか、幸せになれるんだろうかと自問自答の時代。僕は家族を顧みなかったから。それがこんな自分でも振り返ると家族がいた。嫁さんに本当に感謝です。

 令和元年。ヤザワ、9月には70歳になります。はっきりしていることは「現役」です。スティル・ロックシンガーです。5月1日に今年のツアーを発表します。現役70歳で街から街へロックンロールするヤツ、一人くらい日本にいないと。そのうち現役でやれなくなる時が来る。そしたら僕は引っ込むから。後は周りで“ヤザワ頑張ったよ”と言ってくれればいい。

 ロックンロールとは、心の持ち方、生き方です。反骨とは社会に言っているんじゃなくて、自分自身に言っているんですよ。だから平成は、どう年を取ってどういう歌をどんなスタイルで歌えるのか、もっと人間らしくなれるのかと、そっちで自分をあおった。

 そこで「令和」。リアルに確実に矢沢は老いていきます。でも俺の魂はスティル・ロックシンガー。だけど70歳。ケツ振れるかな、とか言っても現場に行くんですよ。来ているお客のチケットの重さ。これハンパじゃないのよ。だからヤザワ、令和に対して言いたい。70歳で1万人の観客をぶっ飛ばす!これが70歳になるリアリティー。ロックンロール・アゲインだよ。

 指紋だけでコーヒー飲める時代。便利な世の中になった。だからこそ「令和」は人間感が大事になってくる。例えばアーティストならMC。歌だけじゃない、一言一言が大事になってくる。確かに便利にはなった。コンビニはあるし、地下鉄は張り巡らされ、若いヤツらは車買わなくなった。女を飲みに連れていっても割り勘とか。でも若いヤツらに言いたい。この女との初めてのデート。全財産つぎ込んでもエスコートして、明日はオー・マイ・ガーッ!そういう男はいないのかと。

 令和はそういう時代に返った方がいい。便利は“トリック”でもあるんだ。忘れるな。大きなブラックホールが開いて待っている。「便利」が素敵な世の中だと思っていたらガッツリ落ちるから。

 敵は“自分の中”にいる。便利というのは背中合わせで落とし穴かもしれない。平成の「近道・イズ・グレート」を満喫した時代から、令和になったらもう一度ロックンロールに戻ればいいんだよ。

 痛い目に遭えばいい。そしてシャウトすればいい。大学も出ていない、親もいない。そんな俺が闘えたのは近道をせず、苦労をしたからだ。「近道したら近道にやられる」。それが分かる世の中。そういう令和になったらいいんじゃないかな。

 ≪進むべき道があれば寂しさを緩和できる≫僕らの世代は令和をどう生きるのか。何が大事かというと、自分に進むべき道があるのかどうか。向かうべき所があるのかどうか。そこに尽きる。特に男はね…。寂しさみたいなものがちょっと緩和できるかもしれない。“人生は寂しい”から。年を取ると、男は個になり女は群れるっていうよね。だから人生は寂しいんだよ。その当たり前の寂しさがある中で、進むべき道があったらちょっとはホッとするよね。そうやってある時、やめなきゃいけない時が来る。そしたら気持ちよくやめようよ。だから僕は、歌える限りはやめたくないんだ。

 ◆矢沢 永吉(やざわ・えいきち)1949年(昭24)9月14日生まれ、広島市出身の69歳。72年にバンド「キャロル」結成。75年9月にソロデビュー。著書「成りあがり」は100万部を超えるベストセラー。写真集「俺 矢沢永吉」を発売中。衣装、楽器、愛車などさまざまなアイテムを集めた初の展示会を5月3~12日に横浜市のYCCヨコハマ創造都市センターで開催。

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