令和元年は「ゴジラ」で幕開け

[ 2019年4月30日 23:01 ]

 平成30年間で日本の映画興行は様変わりした。平成初期は観客動員、興行収入ともに圧倒的に洋画が強かった。変化があったのは2006年(平成18年)だった。1985年(昭和60年)以来21年ぶりに邦画の興収が洋画を上回った。06年の興収は1位こそ「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」の110億円だったが、アニメ「ゲド戦記」が76億5000万円(4位)、「LIMIT OF LOVE 海猿」が71億円(5位)と大ヒット。邦画優位がしばらく続いた。洋画配給関係者は「洋画もヒット作は出たのですが、全体をならすと邦画に負けていた。外国へのあこがれも薄れてきて、字幕を追わずに気軽に見られる方がいいのか、と会社内で話し合ったのを覚えています」と振り返る。

 もっとも変わったのは映画の観賞方法だろう。レンタルビデオが普及し、その後DVDへ移行。映画は自宅で“カウチポテト”で楽しむ時代となった。平成の終わりにはDVDさえ借りに行かず、インターネットでのダウンロード。平成の終わりには、幹線道路沿いのレンタルDVD店が続々と閉店した。

 日本の先を行く米国でも、一時は劇場の観客動員が思わしくなかったが、ここ数年、状況が変わってきている。「マーベル・コミック」「DCコミック」のアメコミ発のスーパーヒーロー作品が軒並み大ヒット。日本でも公開中の「アベンジャーズ エンドゲーム」にいたっては世界興収が、公開初めての週末で12億ドル(約1339億円)を突破する見通し。10億ドルの大台を史上最短で記録する作品となる見通しだ。

 「お金をかけて、これでもか!というド派手なシーンの連続ですからね。いくら最新のホームシアターがあっても、さすがに映画館の大スクリーン、サウンドシステムにはかないません。アメリカでは“アメコミ映画は映画館で見る”という風潮が定着している」と関係者は話す。

 日本も昨年の「カメラを止めるな!」「ボヘミアン・ラプソディ」が観客を映画館へ呼び寄せた。邦画製作会社の関係者は「おもしろければ劇場にお客さんを呼べる。この2作品は、それを証明してくれました。われわれにもずいぶんと力になっています。配信へとシフトしていくと思っていた映画人が多かったですから」と話す。

 さて令和元年はどうか。劇場で見たい作品が目白押しだ。まずはハリウッド版「ゴジラ」の最新作「ゴジラ キング・オブ・モンスター」が5月31日に全世界同時公開。モスラ、ラドン、キングギドラとおなじみの怪獣が総出演。そのド迫力映像は、予告編だけでおなかいっぱい、と感じるほど。令和1発目のブロックバスターは間違いないところだ。

 夏には「君の名は。」の新海誠監督の新作アニメ「天気の子」が控える。とどめは12月20日公開の「スター・ウォーズ/ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー」だ。SW新3部作の最終作にして、1977年にスタートしたシリーズ9部作の完結編。洋画関係者の中には「スピンオフの興収がいまいちで、立て続けにSW関連が公開されていることで心配する声もある」と不安視する向きもある。ただ「さすがに最終作ですから。かなりの数字が出るでしょう。令和1年の興収1位はゴジラ、SWのどちらになるか。両作の配給・宣伝会社はしのぎを削っていると聞きます」と邦画関係者。「天気の子」が両作を上回るのかにも注目が集まっている。

 令和元年の映画興行は、とにかくにぎやかになりそうだ。

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2019年4月30日のニュース