指原が最後に伝えたこと NGT問題の渦中…アイドルとファンの「距離感」に提言

[ 2019年4月28日 21:39 ]

<指原莉乃・卒業コンサート>目に涙を溜め観客席に手を振るHKT48の指原莉乃(撮影・荻原 浩人)
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 指原が卒業コンサートで、3万人のファンに最後にお願いをしたのは「アイドルへの応援マナー」だった。

 「これからほかのアイドルを好きになっても、もともと私を応援していた人として、恥ずかしくない行動を取ってね。意地悪や説教しちゃう人にはならないでください」。

 AKB48に入るまで、熱烈なアイドルファンだった指原だからこそ言える提言だった。

 実は、指原ファンのマナーの良さは、アイドル界では知られていた。指原をデビュー当時から応援し続ける、ファン歴11年のこうずさんは「りのちゃんファンは、12年のスキャンダルを境に、ガラリと入れ替わりました」と振り返る。それまでは“ガチ恋系”と呼ばれるファンが多かった。いわゆる「アイドルに恋愛感情を抱く」タイプで、男性なら女性アイドルを、女性なら男性アイドルを応援するという、昔から一般的にイメージされてきたタイプだ。

 指原は当時、スキャンダル報道があったことで、この手のファンが一斉に離れた。ただ、その代わりに、テレビなどで大活躍することで、全く違うタイプのファンを獲得していった。指原が、自分のディナーショーで「おじさんばっかりで、客席が政治家の集まりみたい」と笑いにするほど、客層が大きく変わった。こうずさんは「親戚の子を見守る感じとでも言いましょうか。スキャンダルに一喜一憂するのではなく、今までのアイドルでは考えられなかった、彼女だけの活動や言動を楽しんだり、アイドル活動を楽しむ彼女の姿を純粋に楽しむような、新たなファンが大勢ついていったんです」と話した。

 指原は、従来のかわいいだけのアイドル像を壊して、芸能界で快進撃をすることで、アイドル界に新たなファン層を開拓していったのだ。

 当初は、AKB48選抜総選挙のライバル渡辺麻友にSNSで攻撃的な書き込みをするようなファンもいたが、その都度、指原本人が、ファンを注意して教育していった。アイドル自身が、ファンにマナーを教え込んでいった。その観点からも、指原は稀有な存在だった。

 一般人が、あこがれのアイドルに理想の異性像を追い求めることは、いたって普通のことで、何の問題もない。ただし、ファンによるNGT48山口真帆襲撃事件が起きて、アイドルとファンの「距離感」は、真剣に問われている。そんな中で、指原とそのファンの関係性は、今後のヒントを提示しているのかもしれない。

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