「いだてん」生田斗真“天狗ダンス”反響に驚き「まさか」大河でも宮藤脚本で裸に「またか」

[ 2019年2月25日 05:00 ]

生田斗真インタビュー(上)

大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」で“痛快男子”三島弥彦を熱演している生田斗真(C)NHK
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 俳優の生田斗真(34)がNHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」(日曜後8・00)にレギュラー出演。前半の主人公・金栗四三の盟友・三島弥彦役で肉体美を披露し“痛快男子”を熱演して視聴者を魅了している。弥彦もメンバーだった日本最初のスポーツ同好会「天狗倶楽部」の面々が「T・N・G!」とポーズを決める“天狗ダンス”が反響を呼び「まさか、こんな形で話題になるとは」と驚き。宮藤官九郎氏(48)が脚本を手掛ける作品に参加すると「必ず服を脱がされるんですよ。今回も『またか』と思いましたね。まさか大河ドラマでも自分の裸が毎週のように出てくるとは」と笑いを誘った。演じる弥彦はドラマのコンセプト「痛快」を体現するキャラクターだが「痛快さとイタさの両方が混在するような役になれば」と張り切っている。

 歌舞伎俳優の中村勘九郎(37)と俳優の阿部サダヲ(48)がダブル主演を務める大河ドラマ58作目。2013年前期の連続テレビ小説「あまちゃん」で社会現象を巻き起こした脚本家の宮藤官九郎氏(48)が大河脚本に初挑戦し、オリジナル作品を手掛ける。20年の東京五輪を控え、テーマは「“東京”と“オリンピック”」。日本が五輪に初参加した1912年のストックホルム大会から64年の東京五輪まで、日本の激動の半世紀を描く。

 勘九郎は「日本のマラソンの父」と称され、ストックホルム大会に日本人として五輪に初参加した金栗四三(かなくり・しそう)、阿部は水泳の前畑秀子らを見いだした名伯楽で64年の東京大会招致の立役者となった新聞記者・田畑政治(まさじ)を演じる。

 生田演じる三島弥彦は元警視総監の三島通庸が父、後の日本銀行総裁の三島弥太郎が兄という子爵の名家の生まれ。東京帝国大学の学生というトップエリートでありながら、あらゆるスポーツに秀で「運動会の覇王」と呼ばれ、四三とともに日本最初のオリンピック代表(短距離)に選出。「日本SF小説の祖」と称される一面もあった押川春浪(武井壮)が創設した日本最初のスポーツ同好会「天狗倶楽部」にヤジ将軍・吉岡信敬(満島真之介)頭脳派・中沢臨川(近藤公園)らと一緒に所属した。

 昨年8月上旬から約3週間、大河ドラマとしては異例の海外ロケをスウェーデンの首都・ストックホルムで敢行。生田は「100年前に使われた当時のスタジアムが残っていて、金栗さんや三島さんが実際に走ったトラックを走るというのは、何物にも代えられない大変貴重な経験になりました。朝10時ぐらいに始まって夕方6時ぐらいに終わる、余裕のあるスケジュールだったので、金栗君(勘九郎)とは毎日、夜ごはんを共にして、空き時間も一緒に美術館を回ったり。2人の絆が芽生えたと思います。撮影のスケールは壮大で、僕らも物語の世界に紛れ込んだような気持ちになったといいますか、日本に帰ってきてからも『何か夢のような時間だった』と、よく2人で話をします」と振り返った。

 弥彦が走っている映像は残っておらず、筑波大学のチームが数枚の写真を基に“再現”。「三島さんがどういう走り方をしていたのか、走り方のトレーニングは長い期間をかけてやりました」と役作りの一端を披露。100メートルの持ちタイムを問われると「実際に測ってはいませんが、体感的にはかなり速くなったという気はします」とし「風を感じるようになりました」と笑いを誘った。

 また「三島さんは体もかなり大きかったので、説得力のある体づくりもしました」。撮影終わりに武井ら天狗倶楽部のメンバーと焼き肉を食べに行った時は「やっぱり天狗倶楽部だから、米は大(ライス大)を頼むでしょうと(笑)。食生活から変えていった部分もあります」。トレーニングは普段から行っており「走り込みやウエート、プールで泳いだり、ストレッチで可動域を広げたり。あまり長くても疲れちゃうので、1日に1時間半ぐらいだと思います」と明かした。

 弥彦の内面については「『痛快』がコンセプトの作品ですが、痛快の『痛』は『痛(いた)い』とも読めて。ちょっと空回りしてしまうような三島さんのイタさみたいなものが少し香るといいし、痛快さとイタさの両方が混在するような役になればいいと思います。そして、お兄さんに対する劣等感とかも、あまり重たくならずに演じられたらと。お金持ちで、勉強もスポーツもできて、スーパーマンみたいに見られる三島さんですが、みんなと変わらない悩みや孤独を持った人間なんだということを表現できたらと思います」とアプローチしている。

 天狗倶楽部は実在した日本最初のスポーツ同好会。第1話(1月6日)、東京・千駄ヶ谷にある横浜正金銀行副頭取・三島弥太郎(小澤征悦)邸を訪れた柔道の父・嘉納治五郎(役所広司)早稲田大学総長・大隈重信(平泉成)らの前に“乱入”。弥彦が「われらはスポーツを愛し、スポーツに愛され、ただ純粋にスポーツを楽しむために活動する元気の権化、T・N・G!」と叫ぶ。10人ほどが上半身裸になり「T・N・G!」とポーズを決め、連呼。ハイテンションの濃いキャラクターが視聴者の度肝を抜き、インターネット上には「チャラくてウザい。でもエリート(笑)」「すぐ裸になる。バカさ加減が最高」などの声が相次いだ。

 「T・N・G!」とポーズを決める“天狗ダンス”はダンスカンパニー「コンドルズ」の主宰・近藤良平(50)と振付師の木下菜津子氏が考案。第1話放送後から「本当に各方面から天狗倶楽部への反響を頂いて、凄くうれしかったです。それに、まさか、こんな形で天狗倶楽部が話題になるとは思ってもいなかったので、凄くありがたいです」と喜び、驚きながらも「朝イチの天狗ダンスは結構大変。『まだ朝なんだけどな』とか思いながら踊っています」と苦笑い。

 「あまちゃん」も手掛けたチーフ演出の井上剛氏は天狗倶楽部について「『暑苦しい』や『ウザい』は最大限の褒め言葉。演じる側からすると、結構恥ずかしいと思います。振り切ってお願いしますという感じです」としたが、生田は「それでも、僕ら天狗倶楽部はドラマを引っ張らないといけない存在の1つなので、とにかく突き進んで、恥ずかしさも、ロケの暑さも、喉のかれも超えていかないといけないと思っています」と力を込めた。

 脚本の宮藤氏とは映画「土竜の唄 潜入捜査官REIJI」「土竜の唄 香港狂騒曲」や劇団☆新感線の舞台「Vamp Bamboo burn〜ヴァン・バン・バーン〜」などでタッグ。「子供の頃に『少年ジャンプ』が毎週楽しみだったように『早く次の台本が来ないかな」と思わせてくれるような、ワクワク、ドキドキを味わわせてくれる台本。その宮藤さんの脚本のおもしろさを、きちんと100%の形で提供したいというのは、いつも思っています。それと、僕、宮藤さんと一緒に仕事をすると、必ず服を脱がされるんですよ。今回も『またか』と思いましたね。宮藤さんに直接伝えたことはないですが、もれなく、いつも脱がされるなと」とユーモアを交えて語った。

 大河ドラマはキリシタン大名・高山右近役を演じた14年「軍師官兵衛」以来5年ぶりだが「大河に出演しているという感覚はあまりなく、それよりは、何か新しいことや型破りなことをして日本を元気にしたいという思いが凄く強いチームなので、そこに乗っかって、ただただ楽しくて、日曜日が楽しみで『明日(月曜日)からも頑張ろう』と思えるドラマを作りたいという気持ちが一番大きいかもしれないですね」と心境。

 キャリアにおける位置付けについても「もう少し時間が経たないと分からないことかもしれません」とし「ただ、三島さんや金栗さんがオリンピックで『自分の力を試したい』『自分が楽しむんだ』というような思いを持っていたのと同じように、僕自身も今、この『いだてん』の世界にいられるということを楽しみたいと思います。この作品が自分にとって、どんな意味があったのかというのは、また後々になって知ることなのかと思います」と目の前の芝居に集中。新境地は?と尋ねると「自分のことは本当に分からないですからね。ただ、まさか大河ドラマでも自分の裸が毎週のように出てくるとは思っていなかったので、そこは新しい部分かもしれません」と笑った。

 物語は前半のヤマ場・ストックホルム五輪へ。第9話(3月3日)は四三と弥彦がシベリア鉄道で決戦の地に向かう。生田の肉体美と内面に迫る演技に目を凝らしたい。

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