「カメ止め」濱津隆之の決意「いずれ“カメラも止まる”」そのときも需要がある俳優で

[ 2019年1月31日 10:15 ]

「カメラを止めるな!」上田慎一郎監督
Photo By スポニチ

 映画「カメラを止めるな!」の勢いは今年に入っても止まらない。日本映画製作者連盟が29日に発表した2018年の興行収入では、大手のメジャー作品に混ざって31億円で邦画7位にランクインした。

 各映画賞も席けんしている。スポニチなど在京スポーツ7紙の映画記者が選出する「第61回ブルーリボン賞」で作品賞を受賞。「第73回毎日映画コンクール」では上田慎一郎監督(34)が監督賞を受賞した。授賞式はいずれもこれから。ブルーリボン賞は2月6日、毎日映画コンクールは2月14日に開催される。伝統ある映画賞での受賞。上田監督からどのような喜びの言葉がでるか楽しみだ。

 演技賞での受賞には至っていないが、無名だったキャストも続々と新しい仕事が決まっている。もちろん、映画監督を演じた主演の濱津隆之(37)にもオファーが届いている。

 1月5日に放送されたテレビ朝日の新春特番「古舘トーキングヒストリー〜幕末最大の謎 坂本龍馬暗殺、完全実況〜」では、寺田屋襲撃事件で龍馬を守って逃がした長州藩士・三吉慎蔵を演じた。その逃走劇は、カメ止めに触発され8分間ワンカットの映像というおまけ付きだった。撮影は京都で行われ、当日はずいぶんと冷え込んでいたという。番組のプロデューサーは「あわてて逃げるシーンだったので、濱津さんは裸足。寒い中、黙々と演技をしていました。三吉は槍(やり)の達人でもあり、槍の扱いも十分、練習してきてくれました」と、そのしっかりとした仕事ぶりに好感を持っている。

 昨年末、濱津を取材する機会があった。場所は東京・渋谷の喫茶店。「声かけられること、あまりないですから」と、帽子やサングラスで“変装”するわけでもなく、ふらりと現れた。

 「忙しくなったんじゃないですか?」

 「いやいや」

 「古舘伊知郎さんの番組でもずいぶん活躍されたとうかがてますよ?」

 「いえいえ」

 「きょうこの後は、お仕事入ってるんですか?」

 「はあ、NHKで」

 「カメ止め」の中でひょう変する前の映画監督そのまま、温厚で少しオドオドするような雰囲気だった。

 濱津は俳優になる前、一時、吉本興業のお笑い学校に通って芸人を目指していた。その後、クラブのDJに転身と異色の経歴。「また芸人をやってみる気は?R―1グランプリに挑戦するとか?」「いえ、芸人もDJも、もういいです」と、きっぱり。俳優として活動していく決意が感じられた。「いまは勢いで行ってますが、いずれは“カメラも止まる”。そのときも需要がある俳優でいたい」。インタビューの最後に語った、この言葉も印象的だった。

 取材の一環で仕立てたタキシードが家に届いたと喜んでいた濱津。演技で個人賞を受賞し、そのタキシードを着て授賞式に出席する。そんな日が近々やって来る気がした。

続きを表示

2019年1月31日のニュース