史上最年少9歳のプロ囲碁棋士・菫さん 井山5冠との公開対局は引き分け「天下狙える」

[ 2019年1月7日 05:30 ]

井山裕太5冠との記念対局後、握手する仲邑菫さん
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 史上最年少で囲碁のプロ棋士になることが決まっている仲邑菫(すみれ)さん(9)が6日、大阪府東大阪市で、同市出身の井山裕太5冠(29)との公開対局に臨んだ。時間切れとなり、引き分けで終了。終盤は井山が優勢となって終わったが、井山は「天下を狙える才能」と絶賛。菫さんは国民栄誉賞棋士からのお墨付きをもらった。

 イス席に座布団2枚重ねで対局に臨んだ。井山と初対局した昨年はイスに正座だった。9歳が囲碁界の全7冠制覇を2度達成し、昨年国民栄誉賞に輝いた第一人者を相手に奮闘した。最も少ないハンデの「先番」で臨み、序盤から中盤にかけては菫さんが押す場面もあった。

 「途中までこちらがはっきり押されていた。非常に苦しかった」。対局後そう回想した井山は、自らの同年齢と比較して「比べものにならないくらい強い」とし「女流棋士の枠を超えて、(将来)男性に交じっても天下を狙える」と語った。

 決して謙遜ではない。立ち会った日本棋院副理事長の小林覚九段(59)も「菫さんが押していた。最後良くなった井山さんもドキドキしたと思う」と心中を読み解いた。終盤、菫さんが勝勢の井山に引き分けにしてもらった形だが、序盤中盤の輝きが圧倒した1時間20分だった。

 対局後の記者会見。報道陣からの質問に、悔しげな表情で小首をかしげたり、はにかむ菫さん。「打ててうれしかったです」。自らそう語った以外は同席した父・仲邑信也九段(45)とのひそひそ話を経て「勉強になったそうです」と父が代弁し、小学4年の子供らしさものぞかせた。対局前にも、「(出身地で)本来ホームだが今回はアウェー、やりにくさがある」と苦笑いの井山と並び立ち「頑張りたいです」と語るのが精いっぱい。棋譜に示した実力と対照的な素顔があった。

 10歳0カ月の4月1日付での初段昇段が発表された5日、都内での会見。菫さんは将来の目標を「井山裕太先生みたいになりたいです」と語っていた。井山は、菫さんを第1号に認定した「英才特別採用推薦棋士」の審査に加わった6人の1人。「近い将来、本番でやられると思うので、今日は頑張ろうと思った」。井山の言葉が最大級の賛辞になった。

 ◆仲邑 菫(なかむら・すみれ)2009年(平21)3月2日生まれ、東京都出身の9歳。3歳7カ月で大会に初出場。5歳で「朝日・関西アマ女流囲碁名人戦」Bクラスで優勝した。好きな食べ物は焼き肉、キムチチゲ。好きな教科は体育。

 ◆井山 裕太(いやま・ゆうた)1989年(平元)5月24日生まれ、大阪府東大阪市出身の29歳。石井邦生九段門下。2002年に12歳10カ月でプロ入り。16年十段戦で初の7大タイトル独占、一時失冠も17年名人戦で2度目の7冠を達成した。7大タイトル獲得は歴代最多の通算43期。18年国民栄誉賞受賞。

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