「下町ロケット」徳重聡 新境地の裏側「怖かった」変人・軽部役“怪演”で転機の予感「財産に」

[ 2018年10月28日 07:30 ]

徳重聡インタビュー(上)

日曜劇場「下町ロケット」で孤高のエンジニア・軽部を“怪演”し、新境地を開拓した徳重聡(C)TBS
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 俳優の徳重聡(40)がTBS日曜劇場「下町ロケット」(日曜後9・00)で孤高のエンジニアを“怪演”している。後輩に「野暮ったい」と嫌みを吐くなど、さわやかなイメージを一新。初回(14日)からインターネット上で大反響を呼んだ。徳重聡が新境地開拓の舞台裏を明かした。

 俳優の阿部寛(54)が主演を務め、経営難に追い込まれた下町の町工場・佃製作所が技術力により困難を打ち破る様を描き、列島に感動を巻き起こしたエンターテインメント巨編の3年ぶり続編。今回、佃製作所は自転車・自動車・船舶・鉄道・エスカレーターなどに組み込まれている部品「トランスミッション(変速機)」の開発に挑む。

 第1話、プロジェクトチームのリーダーに選ばれた軽部(徳重)は、技術開発部長・山崎(安田顕)に「頼むぞ」と声を掛けられると「はぁ」と気のない返事。コンペが迫る中、連日、定時の午後6時きっかりに退社し、アキ(朝倉あき)が「軽部さん、もう帰るんですか?」と引き留めると「定時だからな。失礼しま〜す」と職場を後に。立花(竹内涼真)が「いつも、ああですよ。何なんですか、あの人」と憤ると、佃(阿部寛)は「とっつきにくいかもしれないが、能力はある男だ」とフォローした。

 後日、ようやく完成した立花の設計図を見ても、軽部は「野暮ったい。やり直し。コストオーバーしているじゃねぇか。話にならねぇよ」。またも定時に帰るリーダーに、立花は「いい加減にしてくれよ。チームなんですから、アドバイスの1つぐらい下さいよ。じゃあ、あなたはあれ以上のスペックが出せますか」と食ってかかった。軽部は「スペック、スペックって、うるせぇなぁ。どんだけスペックが高かろうが、予算内に作れなきゃ、何の意味もねぇんだよ。無駄。無駄な努力。付き合うのも、無駄」と嫌みたらしく言い放つ。激昂した立花は軽部の背後から帽子を投げつけ、取っ組み合いになった。

 SNS上には「徳重聡?全然気付かなかった!」「別人に見える。凄い」「いい味を出してるなぁと思ってたら、徳重聡なんだね。全然、分からなかった。何か一皮むけた感じがする」「軽部のいけ好かなさよ。徳重聡やったんか。めっちゃいいね。 嫌みたらしい役とか影のある役がうまいって素敵」「石原軍団の二枚目俳優ってイメージだったけど、あんなクセの強い役ができるって演技の振り幅が大きくて凄い」などと、その“変貌ぶり”に驚きと絶賛の声が相次いだ。

 当の本人は「いまだにガラケーなので、メールとかLINEとか全く機能していないんです。だから(友人・知人らからのメッセージも来ないため、ネット上の反響の大きさは)そんなにピンと来ていないですね」と実感がなく、苦笑い。それでも「お褒めの言葉は非常にうれしいです」と静かに喜んだ。

 徳重が演じるのは、佃製作所技術開発部のエンジニア・軽部真樹男役。過去に別のトランスミッションメーカーに勤めたことがあり、内に秘めた仕事への情熱は人一倍あるものの、どこか気だるそうに見えることも。ぶっきらぼうでドライな性格が災いし、たびたび周囲と衝突。何を考えているか分からない不気味さも漂う。

 徳重は今回のオファーに「確かに熱い役が多かった中、新しい役。楽しみでもありましたが、未知な部分が多すぎて、正直怖くもありました。8〜9割ぐらいは今までにない部分。撮影初日を迎える時、自分が新しいものだらけにされるのは怖かったですね」と率直な心境を明かした。

 その挑戦の1つは、TBSの“池井戸作品”を手掛け、骨太な人間ドラマを生み出してきた同局・福澤克雄監督(54)の演出。監督が注文した「無表情の中に気持ちを込める」芝居は「なんて難しいことをおっしゃるんだと。基本的に顔は作らず(胸に手をやり)ここ(気持ち)だけ作る。毎回、難しいですが、監督に細かく指導していただいてチャレンジしています。監督の道場に来たような気持ち。旗振り役として作品を引っ張っていただけるので、、こちらも迷いなく行ける。非常にありがたいです」と感謝した。

 福澤監督と役作りを進めるうち、1人のモデルが浮かび上がった。「高校時代の同級生です。非常に頭が良く、能力もあるんですが、照れ屋で無愛想。軽部に似ていませんか?彼の本質が分かるまで(高校時代の)丸3年かかりました。軽部を演じる時は結構、彼をイメージしています」と役作りの一端を披露した。

 阿部主演のNHK「スニッファー 嗅覚捜査官」(16年)にゲスト出演したが、本格共演は今回が初。作家・奥田英朗氏(59)の直木賞受賞作「空中ブランコ」のドラマ化(05年、フジテレビ)は阿部が主演し、同じシリーズのテレビ朝日「Dr.伊良部一郎」(11年)は徳重が連続ドラマ初主演。2人には同じ役(主人公の精神科医・伊良部一郎)を演じた“縁”があった。

 伊良部は破天荒な治療を行うが「軽部と、どっちが変人?という話を阿部さんとしました。変人の方向性は違いますが、僕が『軽部の方が変人ですかね』と言うと、阿部さんも『オレもそう思う』とおっしゃって。阿部さんも『どこまで、その飛んだ、不気味な感じで行くのかね』と僕の軽部を楽しみにしていただいている感じはします」と現場のエピソードを明かし「変人ぶりは行きすぎないように、そして中途半端にならないように」と、さじ加減を心掛ける。

 軽部は第2話(21日)も存在感を発揮。アメリカに親会社を持つ大手トランスミッションメーカー「ケーマシナリー」 がベンチャー企業「ギアゴースト」の特許を侵害していないか、佃製作所とギアゴーストが部品を調べる際、場を乱す発言をしたかと思えば、部品チェックに投影機を使う優秀さもあり、今後の役回りが注目される。

 2000年にオーディション「21世紀の石原裕次郎を探せ!」のグランプリに輝いて芸能界入りし、テレビ朝日「弟」「熟年離婚」、TBS「渡る世間は鬼ばかり」など数々の作品に出演。今年7月に40歳を迎えた徳重のキャリアにとっても、転機やターニングポイントになりそうな「下町ロケット」の軽部役。予感は?と水を向けると「あります。なかなか頂ける役とは思わないですし、作品との出会い、福澤監督との出会い、阿部さんとの出会い…凄く財産になると思います」。徳重の新境地を最後まで見届けたい。

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