藤山直美 がん闘病しながら主演舞台、走って踊ってパワフル復帰

[ 2018年10月9日 05:00 ]

舞台「おもろい女」カーテンコールに笑顔で登場する藤山直美=中央(撮影・久冨木 修)
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 昨年2月から乳がん治療のため活動休止していた女優藤山直美(59)が8日、東京・日比谷のシアタークリエで開幕した主演舞台「おもろい女」(同所で29日まで)で舞台復帰した。1年11カ月ぶりに板の上に立ち、約3時間にわたり観客を魅了。休養前と変わらない熱のこもった演技に、カーテンコールでは惜しみない拍手が送られた。

 終演時のカーテンコール。目を少し潤ませた藤山は、腰と膝を折り曲げて深く深くお辞儀。袖に消えても鳴りやまない拍手に、3度ステージへ戻った。言葉は発しなかったものの、口元では何度も「ありがとうございます」と感謝の言葉を述べていた。

 「“頑張れよ”って言ってもらってる気持ちでした。12月2日(新潟公演での大千秋楽)まで体を大事にして、みんな頑張れよ、と」。終演後、藤山はしみじみと喜びをかみしめていた。

 昭和初期の天才女流漫才師ミス・ワカナの生涯を描いた作品。藤山にとっては3年ぶりの再演で、板の上で走って踊ってとパワフルに演じた。初日の感想を「疲れましたね、やっぱし。体力が落ちてますし、息切れもします」と正直に語った。

 16年11月の舞台「笑う門には福来たる」以来、1年11カ月ぶりの復帰作。昨年1月の定期健診で右側乳房に初期の乳がんが発見され、同3月に手術を受け、その後は治療に専念。「私の中では復帰は早かったと思う」と話し、「病気と相談ですから。復帰できることもあれば、できないこともありますから。今回はうまいこと接点があった」と控えめに喜びを語った。昨年3〜4月に上演を予定していた「おもろい女」が中止となっただけに、復帰舞台も同作にこだわった。

 「役者ってのは下りのエスカレーターを昇っているんです。今はまだ地下2、3階。そこから上がっている」。病気だけでなく、加齢とともに衰えていく体にあらがって、闘い、舞台に上がる。稽古中には「五感の反応が遅くなってきている」と痛感した。ただ、精神的には元気そのもの。定期健診を受け、薬も服用するなど体調管理も今まで以上に気をつけている。

 稽古期間中の9月15日、大好きなロック歌手矢沢永吉(69)のライブを東京ドームで鑑賞。英気を養い、計54公演の長丁場に臨む。「お客さんに喜んでもらうために、出演者が同じ方向を見ていられたら」。座長として引っ張っていく。

 ◆藤山 直美(ふじやま・なおみ)1958年(昭33)12月22日生まれ、京都市出身の59歳。昭和の喜劇王と呼ばれた父・藤山寛美さんが主演を務めるNHKドラマに4歳で子役としてデビュー。以後、テレビや舞台を中心に活躍。持ち前のトークで人気を集め、06年にはNHKの連続テレビ小説「芋たこなんきん」で史上最年長、47歳でヒロインを務めた。

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