内田也哉子 希林さんが大切にしていた裕也からの感謝の手紙を朗読「父と母のあり方へわだかまりが溶けた」

[ 2018年9月30日 14:01 ]

<樹木希林さん葬儀>関係者にガードされ式場に入る内田裕也(撮影・郡司 修)
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 15日に75歳で亡くなった女優の樹木希林(きき・きりん、本名内田啓子=うちだ・けいこ)さんの葬儀が30日、東京都港区の光林寺でしめやかに営まれた。喪主は夫でロック歌手の内田裕也(78)が務めた。

 本来ならば、最後は喪主があいさつをするが、車椅子での参列となった裕也の体調のことを考慮しつつ、自らもしっかりとお礼を言いたいとの思いもあり、最後のあいさつは娘の也哉子が務めた。

 「私にとって母を語るのに、父・内田裕也をなくして語れません。思えば、内田家は数少ない互いへのメッセージ発信を、いつも大勢の方々の承認のもとに行っていた奇妙な家族でした」と切り出した也哉子。「私が結婚するまでの19年間、うちは母と私の2人きりの家庭でした」と続けると言葉が詰まった。

 「象徴としてのみ君臨する父でしたが、何をするにも私達にとって大きな存在だったことは確かです」と裕也の存在の大きさを明かす一方、「自分の親とはいえ、人それぞれの選択があると、頭ではわかりつつも、やはり私の中では、永遠にわかりようもないミステリーでした」と40年以上も別居生活を送りながらも、夫婦であり続けた両親の娘としての複雑な思いを涙声で語った。

 さらに、母の遺品整理で見つけた裕也から樹木さんへ送った手紙を読み上げ、「父から母への感謝と親密な思いが詰まった手紙に、私はしばし絶句してしまいました。普段は手に負えない父の、混沌と、苦悩と、純粋さが妙に腑に落ち、母が誰にも見せることなく、大切に自分の本棚にしまってあったことに納得してしまいました。そして、長年、心の何処かで許しがたかった父と母のあり方へのわだかまりがすーっと溶けていくのを感じたのです」。

 さらに「私が唯一親孝行できたとすれば、本木さんと結婚したことかもしれません」と夫・本木への感謝の気持ちを明かし、「けれども、絶妙なバランスが欠けてしまった今、新たな内田家の均衡を模索するときが来てしまいました」と大切な母を失った喪失感を明かした。

 「『おごらず、人と比べず、面白がって、平気に生きればいい』まだたくさんすべきことがありますが、ひとまず焦らず家族それぞれの日々を大切に歩めたらと願っております」とあいさつした。

 裕也は、この日、車椅子で午前9時すぎに会場入り。取材などに応じることはなかった。20日に「最期は穏やかで綺麗(きれい)な顏でした。啓子 今までありがとう。人を助け 人のために祈り 人に尽くしてきたので 天国に召されると思う。おつかれ様。安らかに眠ってください。見事な女性でした」と、文書でコメントを発表している。

 故人の遺志により通夜は近親者のみで16日に、翌17日には家族葬が営まれている。

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