【柳沢慎吾のひとり甲子園“再現動画”】ブラバンの曲で思い出すアルプスの景色

[ 2018年7月24日 09:00 ]

ガッチャマンばりにマントをたなびかせる柳沢慎吾。静岡高の定番曲は「ガッチャマンの歌」(撮影・会津 智海)
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 ブラスバンドは日本人になじみ深いものが多いんだ。洋楽ロックから懐かしのアニメまで本当に幅広くいろんな曲が使われてる。だから試合の思い出とともにアルプス席の景色が心に残るんだろうね。

 イチローや工藤公康を輩出した愛工大名電(愛知)なんて、ハードロックの元祖ディープ・パープルだよ。名電カラーの“濃い紫”にちなんで「スモーク・オン・ザ・ウォーター」を演奏したりするからね。かと思えば、得点機は童謡の「さくらさくら」(※文末の動画<1>参照)。めちゃくちゃテンポが速い、超速の♪さくら〜さくら〜。ブラバンは吹奏楽コンクールで全国最多の出場回数を誇るんだって。そりゃ、あの演奏も納得だよ。

 2年ぶり8度目の出場を決めた佐久長聖(長野)は藤原弘介監督が元PL学園の監督で、廃部となったPLの応援曲「ウイニング」「ヴィクトリー」を継承。こういう形で伝統の名曲が受け継がれていくのも甲子園ならでは。今年もこの曲を聴くとオールドファンはきっとPLの「人文字」が頭に浮かぶよね。

 大正時代の静岡中時代から全国制覇してる古豪の静岡高(静岡)は応援も筋金入りだよ。長く受け継がれている応援歌「希望の歌」を合唱したりして渋いの。定番はアニメ「ガッチャマンの歌」。♪誰だ!誰だ!誰だ〜ってヤツ。マントをなびかせて悪と戦う科学忍者隊ガッチャマン。40代以上にはたまらないねえ。

 「誰だ?誰だ?」っていうと、名電のライバル校でもある東邦(愛知)の1年生エース“バンビ”坂本(佳一)も出てきた時は「一体、誰だ〜」ってなったね。1977年の大会でキラ星のごとく現れた。1メートル76、62キロのきゃしゃな体に可愛らしい顔。アイドルで旋風を巻き起こした。

 東洋大姫路(兵庫)との決勝(※文末の動画<2>参照)は伝説だよ。俺は小田原の長崎屋のデパート前にあった街頭テレビで見てた。おばちゃんがいっぱい周りにいて「この子、1年生よ」なんて盛り上がってた。延長10回に、東洋大姫路の主将だった安井選手の甲子園史上初のサヨナラ本塁打でバンビの短い夏は終わった。その後は一度も甲子園に戻って来なかった悲劇のヒーロー。あれは本当に覚えてるよ。

 関係ないけど、その試合を見終わった後、水泳教室に行った。実は全く泳げないんだけど、なぜか教室に通ってた。小田原は海が近いけど、泳ぐの怖いのよ〜。甲子園の応援曲や名勝負とともに、その時のどうでもいい自分の思い出までよみがえるんだよね。これも甲子園の力だよ。

 ▼77年夏の坂本 2戦連続完封などでチーム躍進を支えた。決勝は1―4で敗戦したが、全5試合を1人で投げ抜いた。

 ▼イチローの甲子園 2年生の90年夏は左翼手で1回戦敗退。エースとして出場の翌年春は1回戦で松商学園に敗れた。

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