テレ東経済ドラマ「ヘッドハンター」監修者が語る裏側「かなり忠実に描かれている」

[ 2018年6月4日 08:00 ]

テレビ東京「ヘッドハンター」の監修を務める武元康明氏
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 テレビ東京が4月からスタートさせた月曜夜10時のビジネスドラマ枠「ドラマBiz」。その第1弾として、俳優の江口洋介(50)が主演を務める「ヘッドハンター」が放送されている。「転職」をテーマに、ビジネス人材のスカウトを行うヘッドハンター界の異端児・黒澤和樹(江口)の生き様を描いた今作。監修を担当しているのが世界有数のヘッドハンターとして知られ、人材斡旋事業を手掛ける「半蔵門パートナーズ」代表を務める武元康明氏だ。ドラマの最終回を前に20年の人材サーチキャリアを誇り、2万人超のインタビュー実績を持つ武元氏に、実際のヘッドハンティングの裏側、作品を通して世の中へ伝えたかった思いを聞いた。

 「ハゲタカ」「コード・ブルー」などで知られる林宏司氏が脚本を手掛け、骨太でスリリングな内容が視聴者から高い支持を集める今作。「転職」を通じて巻き起こる人間模様が濃密に描かれており、監修を務める武元氏も「誰にでも起こりうる転職というテーマを通して、『生きるとは何か?働くとは何か?』を問いかけている。なおかつ主人公の黒澤の動きが最後まで分からず、一貫性がありながら毎回どんでん返しがあるのが面白いですよね。さすが、林さんの脚本。実によく出来ていて、私も視聴者の一人として楽しませていただいています」と内容を絶賛する。

 武元氏のもとに監修のオファーが届いたのは昨年秋。これまでドラマ監修の経験はなかったが「プロデューサーの方や林さんとお会いした際にドラマの企画意図、概要、背景等の説明を受けたのですが、作品への熱い思いや社会的使命感に共鳴して心を打たれたんです。加えて、その方たちとの“相性”がとても良いと感じたので、監修のオファーを受けることにしました」と振り返る。

 監修するにあたり、ヘッドハンティングの実例や手法、リサーチャー(アシスタント)の存在やその仕事ぶりなどを制作側へ情報提供。「かなりリアル感をもって反映していただけています。徳永えりさんが演じているリサーチャーの存在、候補者の選出の仕方、手続き上の書類などはかなり忠実に描かれていますよ。業界人からも『お、よくそこまで描写されているな』といった驚きの声が上がっています」と再現度の高さに太鼓判を押す。

 5月7日放送の第4話では、息子たちと絶縁状態にある老舗旅館の経営者・松原善三(伊武雅刀)から後継者探しの依頼が舞い込み、黒澤らが候補者探しや旅館の調査に奔走する姿が描かれた。このエピソードも実話がもとになっているという。「後継者問題に揺れていた地方の老舗企業から『血縁関係のない人物も視野に入れて後継者を探してほしい』という依頼があったんです。すると、経営者の方のご子息が東京にいることが分かり、『息子に継ぐ気があるのなら継がせてもいい』という経営者の方の意向で“指名スカウト”を行ったことがあるんです」と武元氏は明かす。

 「制作側にそういった実話をいくつかお話させていただのですが、実話のさまざまな要素をかけ合わせて面白いストーリーをつくり上げるのは凄いと思いました。それぞれの要素はリアルな話なので、見ている方にもリアリティーを感じ取っていただけているのかなと思います」

 多くの社会人が自身とは無関係と思いがちなヘッドハンティング。だが、武元氏は「決して華麗な経歴を持つ人たちだけがへッドハンティングの対象ではない」と強調する。「実際に弊社でも地道にコツコツと職場で実績を重ねてきた人たちの中から、ダイヤの原石を見つけることを心がけています。ですから、初めて連絡を取った時に『なぜ私を?』と驚かれる方も少なくないですよ」と実際のヘッドハンティングの裏側を明かす。

 これから訪れるとされる「人生100年時代」。誰もが例外なく転職を経験することになる時代の到来を武元氏は予測する。

 「今日、もしかしたら、あなたにヘッドハンターから連絡があるかもしれません。その時、あなたはこのドラマの登場人物と同じように迷いや葛藤が生じると思います。そんな日のために、ドラマで黒澤が幾度となく口にする『あなたにとって一番大切なものは何ですか?』という言葉があります。自分にとって何が一番大切か、働くとは何かを一度自分と向き合って考える。このドラマがそのきっかけになれば監修冥利に尽きますね」と胸の内を語った。

 4日にいよいよ最終話を迎える「ヘッドハンター」。最終話は俳優の山本耕史(41)がゲスト出演し、ビジネス界復帰を画策する黒澤の姿が描かれる。黒澤の裏切り行為によって、大きく揺れる灰谷(杉本哲太)や赤城(小池栄子)。果たして、黒澤は悪魔なのか、救世主なのか――。

 なお、「半蔵門パートナーズ」のホームページで連載中の武元氏のコラム「半蔵の心得」ではドラマに関するコメントを掲載。ヘッドハンターの目線から見たドラマ解説にも注目だ。

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