安室奈美恵 貫き通したスタイル“鉄人ライブ健在”

[ 2018年6月4日 05:00 ]

安室奈美恵ラストツアー最終日 ( 2018年6月4日    東京ドーム )

ライブ中に走る安室奈美恵
Photo By 提供写真

 初めて40代で迎えたツアー。途中でMC(トーク)を入れず、ノンストップで歌い切る安室式の“鉄人ライブ”は健在だった。「フルマラソン並み」とも言われるハードなステージを、先月には5日間のうち4日(東京ドームで2、3、5、6日)も開催するなど、驚異的なペースで続け完走した。

 歌手とダンサーの1人2役。前所属事務所「ライジングプロ」の平哲夫社長のポリシーで、歌って踊れるアーティストの道を目指し、TRFのダンサーチームの振り付けで強調されるようになった。

 国内トップ級のダンサーだったメンバーで元夫のSAM(56)らが安室に求めたのは「プロモーションビデオ(PV)のようなパフォーマンスをステージで」。PVは歌とダンスが別撮りで、それぞれに専念できるため、上質な作品になる。しかし、それを別々ではなく同時に、しかもライブで実現しようという画期的な試みだった。

 当初は歌声は上ずり、曲と踊りが合わないなど失敗の連続。しかし、数カ月後のツアーでは、ダンススキルもスタミナも飛躍的に向上させ、周囲を驚かせた。ヒップホップナンバーで歌って踊るアーティストは安室が初。異例の“二刀流”を、育児を抱えながら猛烈なレッスンを重ね、自分のものにしていった。

 2時間余りのライブで、ただひたすら歌って踊る。ほかに観客を引き込むのは、MCではなく、衣装や仕掛け、映像。着替えの時間を除けば、休みはない。もはやスポーツ競技の域だ。

 一方で、このスタイルでは年齢的にいつか限界が来ると考え、区切りと定めたのが40歳だった。その衰えを感じさせない熱演でラストツアーを締めくくった安室。鉄人は鉄人のまま、錆(さ)びを見せることなく、ステージを去った。

続きを表示

この記事のフォト

2018年6月4日のニュース