子どものスポーツは部活から地域へ…「総合型地域クラブ」への期待

[ 2018年3月15日 11:40 ]

 名古屋市教育委員会は今月5日、全市立小学校で実施している部活動を2020年度限りで廃止する方針を表明した。教員の長時間労働が問題になる中、現場の負担軽減を図るのが目的だとし、21年度以降は、教員が携わらない形で何らかの活動を続けるという。

 このニュースについて、東北地方の小学校の教員と話す機会があった。この教員は40代で、サッカーのスポーツ少年団の監督。平日は小学校の部活動で子どもたちに接し、土曜と日曜は部活動ではなくスポーツ少年団の指導者として接しているという。報酬はなく「今回の名古屋市のことがきっかけで、あいまいな部分が解消されればいい。欧州にあるような総合型地域スポーツクラブが広がれば」と期待している。

 欧州には、大人から子どもまでが多種多様にスポーツを楽しめる「総合型地域スポーツクラブ」があり、100年以上続く地域のクラブチームもある。日本のジュニアのスポーツは学校の部活動に依存する部分が大きく、多くのスポーツを体験するのも難しい。この学校の枠を超えて地域に拠点に置く「総合型地域スポーツクラブ」があれば、さまざまなスポーツを経験し、自分に合ったものを探すことができる。

 さらに、プロ選手の引退後の受け皿にもなる。子どもを教えるという一流選手の引退後の仕事も生み出し、一流の技術を伝える場所にもなる。数年前から広がりを期待されている「総合型地域スポーツクラブ」だが、導入している地域は限定的。名古屋市の部活廃止がこの問題に一石を投じる形になるか、注目される。(記者コラム)

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2018年3月15日のニュース