【夢中論】“梨園の妻”藤原紀香の心映え 結婚で伝統文化身近に 和を学ぶ日々

[ 2018年1月16日 09:40 ]

陶芸に打ち込む藤原紀香自。日本の伝統文化を学び、日常生活に取り入れている
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 女優の藤原紀香(46)が、陶芸や生け花など伝統文化の稽古に励んでいる。16年に歌舞伎俳優片岡愛之助(45)と結婚。“梨園の妻”として、より身近になった「和」を日常生活に深く取り入れようとしている。「何事にも楽しみを見つけることが得意。心がワクワクすると、“心映え”につながるんです」。紀香流の生き方だ。

 ◆月に数回教室通って

 着物の上にかっぽう着を羽織り、向かい合うのは粘土の塊。ろくろの上で、粘土の真ん中に作ったくぼみを紀香は親指でグッ、グッと押して伸ばしていく。「あっ、ここ少し薄かったかな。割れやすくなっちゃう」と心配そうに見つめながら、ろくろを回しては粘土を伸ばす。整えること数十分。高さが約15センチもある湯飲みの形に仕上がった。

 「筆立てじゃないですよ、大きな湯飲み。探しても売ってないので、自分で作りたいなと思って。旦那さんがお茶が好きで、お茶ばっかり飲むんです。これは喜んでくれると思う」。愛之助が使う姿を想像して、親指に愛情を込める。美濃焼の窯で焼き上がるのが待ち遠しい。

 東京・三田の住宅地に立つマンションの一室。書道家、川邊りえこ氏が主宰する会員制のお稽古教室「日本雅藝(みやびごと)倶楽部」。日本の美について総合的に学べる教室で、2年前から月に数回通っている。梨園の妻となり「自分は未熟。知らないことばかり」と気付いたことがきっかけだった。

 ◆夫婦で使える楽しさ

 学ぶのは、書道、生け花、陶芸、そして季節の心得。日本特有の四季折々の文化を知る。「11月や12月は枯れていく文化。生け花も奇麗なお花をどんどん挿したらダメ。ススキとか少し地味じゃない?って思うような花を挿すんです。そういうことを知ると、和食屋さんに行った時、“今はこんなお花を飾ってるんだ”と見るのも楽しみになるんです」。

 昨年、陶芸で作ったのは円形の2枚のステーキ皿。直径25センチほどで一部分を削ってくぼませた。上から見ると三日月の形が浮かび上がる。「くぼみに大根おろしやソースを入れて、お肉を食べるんです。旦那さんは基本的に肉食。舞台に立つと肉が食べたくなるんですよね。自分で作ったお皿で食べられるのは、やっぱりうれしい」。習ったことは生活につながる。書道はあいさつ状やお礼状に生きる。生け花は自宅で実践。もちろん花瓶は陶芸で作ったものだ。「ここで習うことがステータスじゃない。日常に結びつくことがスキルアップできて、それが、女性、女優、妻としての生活につながっていく。だからここが大好きなんです」。

 ◆20歳 着付けが入り口

 初めて日本の伝統美に触れたのは、ミス日本グランプリに輝いた20歳の時。入り口は着物だった。「オーストラリアに行って、自分で着付けて植樹祭に出るので、必死に着付けの学校で勉強したんですよ」。今も役者の妻として、和装で劇場に立つ日々だ。

 12月はほぼ毎日、愛之助が出演していた歌舞伎座のロビーに立っていた。午前4〜5時に起床し、6時から着付け。開演前から出迎えや見送りとせわしなく動く。日によっては会食に同席して、帰宅が午前0時ということもある。でも、忙しさよりも楽しみがある。

 「劇場にはいろんな方がいて、女優業に大事な人間観察ができる。主人を褒めてくださるご意見はもちろんうれしいですし、“あなたの舞台見に行ったわよ”と言ってくださる方もいてエネルギーを頂ける。お客さまと触れ合うことなんて今までなかったから、とても楽しいですよ」

 ◆年齢で枠組みしない

 日常の中で小さな楽しみや学びを見つけていく。これが紀香スタイルだ。劇場に早朝から行くと、スタッフの朝礼を見かける。「こんなに多くの方がいて、舞台が成り立ってるんだ」と知り、女優として舞台に立つ時も感謝の気持ちをより強く抱くようになった。

 紀香を支えるのは、現状に満足しない向上心。「私は年齢で枠組みをしない人。年齢に関係なく、やる気になればなんでもできると思っちゃう。藤原紀香という人間力を高めたい」。いつでも、何歳からでも新しいことを学ぼうとする。

 「役者の妻の世界に入って“こんなことがまだ学べるんだ”ってすっごく感謝してる。知らなかったことがたくさんあって、またイチから勉強できる。それをまた生活や仕事にフィードバックできるし、心がワクワクすることが“心映え”につながる。ワクワクしてるから、充実していられるんです」

 最近は歌舞伎役者の衣装の紋様に興味を持った。着物や帯は、屋号の松嶋屋や家紋の銀杏(いちょう)の柄などを中心に集めているが、「役柄によっての紋様を勉強して帯をそろえてみたいと思って、歌舞伎の衣装の本を昨日アマゾンで買ったんです」。勉強が楽しくて仕方がない。好奇心にあふれた笑顔だった。

 《舞台で念願かなった》 役者の妻として生活する一方、時間をうまく調整して女優業も行っている。4月12日からは大阪・新歌舞伎座で舞台「花盛り四人姉妹〜吉野まほろば物語」に出演。長女から順に、藤あや子(56)、石野真子(56)、紀香、三倉茉奈(31)が演じる姉妹による人情劇。紀香は三枚目キャラの三女で、「大奥が大好きなので、女性ばかりの作品をやってみたかった」と念願がかなった形。芝居のほか歌謡ショーもあり、紀香も3曲を歌う。現在選曲の真っ最中で「ミュージカル以外の舞台で歌うのは初めて。ドキドキしてる」と胸を躍らせている。

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