野村沙知代さんを悼む 甘味好きな克也氏を怒る姿が目に浮かぶ

[ 2017年12月9日 08:30 ]

野村沙知代さん死去

8日に亡くなった野村沙知代さん(2011年撮影)
Photo By スポニチ

 【悼む】「サッチー」という愛称は「鉄の女」と異名を取った英国初の女性首相、故マーガレット・サッチャー氏を思わせた。いつ、どんなときも、そして誰に対しても物事をはっきりと言う。野村沙知代さんとは、そんな人だった。

 沙知代さんがオーナーだった少年野球チーム「港東ムース」。夫の野村克也氏がヤクルト監督時代、よく神宮室内で練習しているのを見に行った。子供たちが練習している傍ら、軽食を用意するのがお母さんたち。記者が室内に行くと、すぐにコーヒーを持ってきてくれた。子供たちを厳しい言葉で?咤(しった)する沙知代さんは、お茶出しが遅れたとき、お母さんたちにも「お茶が出てない!すぐ気がつけ!」と怒鳴っていた。

 口調が激しく、ときには誤解も生む。それでも、あいさつや礼儀を大切にする姿はいつも同じだった。

 高血圧のため、甘いものは厳禁だった克也氏は大好物の金つばを手にして、よく言っていた。「家では食えんのや。サッチーが怒るから」。それを聞いて何となく野村家の様子が浮かんできた。もう甘味に手を伸ばす克也氏を怒る沙知代さんはいない。ご冥福をお祈りします。(秋村誠人=元ヤクルト担当、現北海道総局編集部長)

続きを表示

2017年12月9日のニュース